「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

理想の監督像 – 樋口靖洋 ロングインタビュー 第四回  「僕たちは彼らをしっかり観察する義務がある」-2,317文字-

【ロングインタビュー 第4回 】
監督 樋口 靖洋(横浜F・マリノス)

聞き手:藤井 雅彦 写真:星智徳

01 かつてはプライマリーやユースの指導者だった樋口靖洋監督。インタビュー第4回となる今回のテーマは『監督』。就任してから約1年半の間、どのような姿勢や思考に基づいてチームと向き合ってきたのか。そして、戦う選手をどのように見つめているのか。メンバー選考から試合中の采配に至るまでの話を聞くと、樋口監督が理想とする監督像が見えてくる。

 

 

――今回は『監督』という職業についてお話を聞きたいと思います。樋口監督が考える「監督に最も必要な要素」は何ですか?

「難しい質問ですが、決断力だと思います。いわゆる『決定する権限』は僕にしかいないということ。それはとても大切なことだと思います」

02――決定権を持つ反面、責任を問われるのも監督の宿命だと思います。

「そのとおりです。この言い方が良いか分からないけど『決断する=腹を括る』というような感じですね。例えば先発メンバーを決める、18人のメンバーを決める、こういった作業では本当に悩んでいます。でも、決めたあとはすごくスッキリした気持ちになっているんですよ」

――樋口監督の性格を考えると、何かを決める際にはすごく悩んでいるのではないですか? 感覚で決めるタイプではないような気がします。

「悩むというか、すごく考えていますね。でも、ここまでに決めようというタイムリミットを決めて、そこまでのフィーリングとイメージで決めます。自分の中でそういったスケジュールを決めています」

――試合当日のコンディションといった要素は別として、どのタイミングで試合に臨むメンバーを決めるのですか?

「だいたい試合の前々日の夕方くらいですかね。試合前日にはベンチメンバーを含めた18人を発表しなければいけないですから。メンバーを発表するということは、ゲームプランがある程度できているから18人を決められるわけです」

――そうすると試合前日に報道陣に対して「一つか二つのポジションで悩んでいます」と話されるのは嘘ということですか?(笑)

「それが最初に言われた選手のコンディションの部分ですよ。負傷を抱えている選手が試合当日使えなかった場合はどうするか、といった不確定要素ですね。決して嘘はついていませんよ(苦笑)」

――決断に関しては慣れてくるものですか?

「いやいや、慣れないですよ。僕の中では土曜日が試合の場合、木曜日は本当に胃が痛くなる。一番考える日ですね。でも考えても考えても、最後は腹を括って決めるしかないんですよ。ただし『丁か半』で決めるものではないと思っています。いくつかのことをシミュレーションしながら、そのうちのどれを選択するかという作業です」

――普段の居残り練習を眺めているときから、そういった決断の準備をしているのですか?

 

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