「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「自分は遅咲きだから」 もうすぐ28歳の天野純にとって欧州移籍のラストチャンス。ならば最高の笑顔で送り出したい [天野純の移籍が決定。本日がラストゲーム]

 

天野純が初めて欧州移籍を視野に捉えたのは、マリノスでレギュラーの座を確保できず苦しんでいた16年夏のこと。時折訪れる試合出場のチャンスに結果を残せない。鬱屈とした自分を変えるために、新たな環境に身を置いてのチャレンジを考え始めていた。

その後、次第に頭角を現して主力としてプレーするようになっても、サッカーの本場への憧れは変わらない。昨夏には実際に欧州クラブからオファーが届いた。その時はマリノスに残留してタイトル獲得にまい進することを誓う一方で、決して夢をあきらめたわけではなかった。

欧州移籍への思いをさらに強くしたのが、昨年9月の日本代表初選出だった。海外組と呼ばれる選手たちとピッチ内外で同じ時間を過ごし、自分との明確な違いを感じずにはいられなかった。

「欧州でプレーしている選手たちから余裕や自信、風格のようなものを感じた。どんな状況にも物怖じしないメンタルを持っていた。Jリーグのレベルの問題ではなく、これは実際に海外に行って戦わなければ身につけられないものだと痛感した。今の成長スピードでは足りないので、もっとスピードを上げたいと思った」

 練習でのプレーレベルにはさほど戸惑わなかったが、実際の試合になった時に余裕や自信の差が如実に表れた。マリノスでは試合に常時出場できるようになり、Jリーグでは一目置かれる存在になったが、同じ日本人でも上には上がいた。

いつしか夢や憧れから現実的な“目標”に変わった。

今季は背番号10を背負い、主将という大役も担った。名実ともにチームの顔として開幕からチームの好調を支え、その最中にベルギーの古豪からオファーが舞い込む。気持ちが移籍に傾いていくのは自然な流れだったのかもしれない。

 

 

優勝を目指せる位置につけていることもあり、クラブは慰留に努めた。契約期間を残しているためクラブ側が固辞することもできたが、一方で小倉勉スポーティングダイレクターは「年齢的なこともある。サッカー関係者として気持ちは分かる」と最大限の理解を示していた。

初めて海外を意識してから3年の年月が過ぎ、天野は今度の7月19日に28歳になる。

 

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