【VS横浜F・マリノス】泥だらけの背中【Atsuphoto無料公開】
◇28日 J1第32節 横浜F・マリノス 1-3 FC東京(日産スタジアム)
日産スタジアムのピッチを去るヒーローのユニホームは汚れていた。仲川輝人は古巣相手にダメ押しとなる3点目を奪い、主役の座を射止めた。
今季5点目は泥くさくも技術の詰まった仲川らしいゴールだった。2-1で迎えた後半44分、中村帆高が自陣でインターセプトし、右サイドをオーバーラップした野沢零温へとボールを預ける。これを背番号28がゴール前に折り返すと、そこに待っていた仲川が左足でネットを揺らした。直後に相手GKと接触し、半回転してピッチに背中を滑らせた。
その泥だらけの背中が何ともカッコよく映った。技術やスピードだけじゃない。仲川は文字通り泥くさく守備でも戦い続けている。総走行距離では小泉慶や、高宇洋に続くチーム3位。もちろん全試合出場を続けているからこそだが、そのプレスバックで守備陣もサポートし続けている。泥くさく戦い続ける男の足下に、最後はボールが転がる。そう思わせてくれた、背中だった。
かつての本拠地で、チームを2020年以来の勝利に導く。日産スタジアムには、青赤の仲川のチャントが響き渡った。
前半19分、起死回生の同点弾を挙げた岡哲平。シュートがゴール前の混戦を抜けてゴールネットを揺らした瞬間、振り上げた右拳からは汗が飛び散った。
俵積田晃太が挙げた花道を駆け抜けて冷静にゴールへと流し込んだ一撃は貴重な決勝弾となった。背番号33にとってはプロ2年目の壁を打ち破った瞬間だった。
photo by Atsushi Mihara