【VSサンフレッチェ広島preview】台風10号の影響で前日練習も行えないまま試合当日の昼に現地入り 予定通りの試合開催決定に残る疑問符【無料公開】
◇31日 J1第29節 サンフレッチェ広島 – FC東京(エディオンピースウイング広島)
ようやく到着した広島のカフェで、この記事をため息を吐きながら書いているところだ。
FC東京は、台風10号による交通機関への影響を避けるために予定を一日前倒しして29日の13時に小平グラウンドを出発。15時過ぎの新幹線に搭乗して一路広島に向かった。僕もそれを見届け、その日の原稿を書き終えてから自宅に戻って3泊分の荷物をピックアップして後を追った。
新幹線のホームに着くと、頭を抱えるしかなかった。ホームには人がごった返し、車両が両側に停車したままで、電光掲示板には運行見合わせと表示されていた。静岡県周辺の大雨による影響だというが、その後も雨の勢いは衰えることはなかった。この日のうちに雨量規制値を下回ることはなくなったとして19時過ぎに予定されていた、列車は全て運休になったというアナウンスがホームに流れた。
そこから便宜証明書を受け取るために改札には長蛇の列ができて、ようやく帰路に着くことができたのは20時前だった。その後、クラブ広報らに問い合わせ、先発した選手たちを乗せた列車は静岡手前の新富士駅で立ち往生していることを知った。
その後も静岡周辺の雨脚は弱まることなく、日付が変わっても列車は停車したままで選手らは約8時間缶詰め状態のままだった。その間、食事もとれず、支給されたのは水だけだったという。
1時過ぎに新富士駅で下車し、選手たちが静岡県内のホテルについてUberなどで何とか食事を済ませて就寝したのは2時過ぎ。翌30日は広島行きが全便欠航し、東京-名古屋間が終日運休する中で昼過ぎに再びバスで羽田空港近くのホテルへと移動。到着したのは夕方だったという。前日練習も行えず、結局チームは試合当日の31日の朝に羽田から山口宇部空港へと向かい、バスで広島入りしたのは昼過ぎだった。
現在チームは5戦未勝利で、リーグ中断明けから4試合連続無得点と苦境に立たされている。その中で、今夏に加入したブラジル人FWエベルトン・ガウディーノの先発起用や、新たな並びもこの一戦に向けテストされていた。もちろん新布陣や、6試合ぶりの勝利への期待も少なくなかったが、今は選手がけがなく試合が無事に終わってほしいというのが個人的な願いだ。コンディション面での負担や、けがのリスクも懸念される中での試合開催に至った詳しい経緯は説明されておらず、今回の決定には首を捻らざるを得ない。逆境吹き荒れる中で、青赤は踏ん張りどころの一戦を迎える。
text by Kohei Baba
photo by Kenichi Arai