【号外】Love to see you again‼ 三田啓貴が伝えたい思い「僕自身が東京サポーターの一人ですし、いつまでもどこに行っても僕はFC東京を応援しています」
別れの季節は毎年やってくる――。
そして、今朝そのニュースは発表となった。
『FC東京は28日、MF三田啓貴(32)が来季J1を戦う横浜FCに完全移籍すると発表した』
本気の東京愛を傾けてきた、タマから届いたメッセージには悔しさと、素敵な言葉が詰まっていた。
また会ったときにいろいろ話そう、タマ!
『Thanks TAMA‼~Love to see you again~』
◆絶対的な存在になれなかったのは自分の責任
―FC東京から横浜FCへの完全移籍が発表となりました。今の率直な気持ちを聞かせてください。
「寂しい思いはあります。ただ、現状を考えれば、自分が試合に出場できる可能性があるところでチャレンジしたいという思いが強くなったというのが正直なところです」
―今シーズンは活躍しても次の試合でベンチから外れることもありました。苦しい1年でしたね。
「とにかく試合に出たいという思いが今は強いです。これはアルベル(・プッチ・オルトネダ)監督にも言われたことですが、少しずつチームを若返らせたい、と。簡単に言うなら世代交代をしていきたいということなんだと思います。監督と2人で話したときも『いいプレーをしていることは分かっているが、年齢的にも少しずつプレー機会を若手に譲っていってほしい』と、言われていました。自分がそういう年齢になっていることも、今後ここではプレー機会が減ることも理解していました。ただ、僕自身はまだまだできると思っています。だからこそ、少しでも自分のプレーを見せたいという思いで今回移籍を決断しました」
―年齢で判断されることについては、どう感じていましたか?
「もちろん悔しさはあります。でも、もっと絶対的な選手になれていれば違っていたと思います。日本代表に入れなかったのも、自分の実力不足だと思っています。たとえば代表に入ってプレーしていたら、チームでも絶対的な存在になれていたはずです。自分の力を見せつけられなかった、そこが悔しいです。(長友)佑都さんみたいに代表に入ってワールドカップに出ていたら、きっと今季も起用されていたはずです。モリゲ君(森重真人)みたいに代表で絶対的な存在になって、東京でも森重を超えるセンターバックはいないという存在に自分はなれなかった。そこは自分自身に責任があると思います」
―ただ、今季開幕前に見た、アンカーでプレーした練習試合はタマのプレーにときめきました。18歳の時に見た早稲田との練習試合を見たときみたいに。
「自分自身も、もっともっと中央でプレーしたかったのが本音です。一番悔しかったのは、一番得意なポジションで3年半勝負できなかったことかな。もしかしたら、そこに尽きるかもしれない」
◆東京サポーターへ何より伝えたい言葉
―ボランチで勝負したいという思いが強いなかで、復帰後も数える程度しか出場できなかった。
「自分がボランチで出場した試合は、全部覚えています。それだけ自分にとっては、特別なポジションだから。ボランチで出場した試合は、サッカーのスタイルが合わなかったとしても自分自身のプレーは出せたと思っています。だからもっともっと使ってほしかった。自分のプレーを東京のサポーターに見せたかった。サポーターに一番得意なプレーを見せられなかったことが一番悔しかったかな」
―プロになったときも中央でプレーができず。ボランチで勝負したいとベガルタ仙台、ヴィッセル神戸に活躍の場を求めましたね。
「仙台でも神戸でもボランチでプレーできて、神戸ではアンドレス(・イニエスタ)が来てから4-3-3のインサイドハーフになったけど、そこでも自分の良さは出せたと思っています。神戸のリズムや、プレースピードも自分のスタンスに合っていたと思うので」
―三田啓貴という選手が一番得意なプレーを、一番大好きなサポーターの前で見せられなかったことは後悔が残りますか?
「そうですね。仙台や神戸でプレーしていたボランチとしてのプレーをもう一度見せたかった。その思いが一番強いです。東京にいても、それが出せずに試合でもベンチを温めることのほうが多かった。そういう意味で、特に今年はサッカー選手として刺激の少ないシーズンだったのかもしれない。もう一回自分のプレーをという気持ちが今は強いですし、自分自身を取り戻すために決断した移籍です。東京は好きだけど、僕はまだまだサッカー選手として生きたいので」
―来季は、その東京との対戦が待っています。
「東京との対戦は、めちゃくちゃ楽しみです。特別な思いはありますが、横浜FCの目標は、まずはJ1残留なので一戦一戦が大事な試合になる。もちろんどの試合でも勝つつもりでいます」
―来季横浜FCのコーチに就任した中村俊輔さんと一緒にできるというのも楽しみですね?
「もちろん面識はあるけど、一緒にボールを蹴ったことがないのでめちゃくちゃ楽しみです」
―そして、三ツ沢がホームになります。
「三ツ沢での一番の思い出は、(高校時代に)クラブユースでMVPを取ったことです。あそこから僕の全てが始まった、原点と言える場所なので楽しみです」
―では、最後になりますが、FC東京サポーターにいま伝えたいことはありますか?
「今年、東京のサッカーは本当に変わったと思っています。だからこそ、このスタイルを継続していってほしいです。こういうサッカーをしていれば、自ずと今回の冬の補強でもそうだったけど、仲川(輝人)選手のようなこのスタイルに合った選手たちがこれから来てくれるはずです。このスタイルを貫いて継続することで、きっとチャンピオンへの道も開けてくる。だから東京サポーターには長い目で見て、みんなで基盤をつくっていってほしい。何より伝えたいことは、僕自身が東京サポーターの一人ですし、いつまでも、どこに行っても僕はFC東京を応援しています」
text by Kohei Baba
photo by Masahito Sasaki