平山隆史マーケティング本部長に訊く、一体感の重要性と味スタでなかなか勝てない危機感【不定期連載/FC東京クラブスタッフジャーナル #1/後編有料公開】
無料公開の前編では国立競技場開催4試合のプロジェクトや東京都とのワイドコラボ協定に基づく連携を中心に訊ねた『FC東京クラブスタッフジャーナル』第1回。有料公開の後編では勝つためのスタジアムの雰囲気づくり、ファンとのコミュニケーションについて平山隆史マーケティング本部長に訊く(※冒頭は無料公開範囲)。
◆昔のよかった部分を引き継ごう
「ホームで勝たなきゃいけないと、ずっと思っています。そしてぼくらもマーケティング活動の中心はホームゲームにどれだけ集客出来るかだと思っています。それはなんでと言われたら、直接的には入場料や物販の売上でお金を稼ぐのが目的ではあるんですけれど、ぼくの個人的な考えでは、スタジアムの雰囲気がチームを勝たせる瞬間をぼくらは何度も見てきて、その雰囲気をどうやってつくるのかが重要だと思うんです。結果が出ていない時もチームを支えてくれている方はたくさんいらっしゃって、そういう時こそピッチ外のところで『次は勝つから、みんなで勝たせるために、次もぜひ来てください』とどれだけ言い続けられるか。スタッフがちゃんとチームを信じて動けなければ成り立たない。なかなか味スタで勝てていない現状で、ぼくらスタッフにも、ときにはきっとファンのみなさん以上に残念な想いやイライラも当然あるんですけど、でもネガティヴになる瞬間は出来るだけ短くして。少し先の試合を見すえていろいろな仕込みはしているんだけれど、でも足もとの1勝が一番重要だというのはこれまでの経験でわかっているので、いま目の前の試合に勝つことに集中しようと。マーケ側からそういう後押しが出来るといいなと思っています」
ピッチ外の仕事を担うフットボールクラブのビジネススタッフは、現場の勝利を激しく喜び、ファン・サポーターの後押しが勝利につながると信じる、決して効率的ではないロマン主義の、熱い人々の集まりだということは、もっと知られてもいいのかもしれない。
「それぞれの自己満足ではあるんでしょうけど『今日の試合はオレたちが勝たせたぜ』って思えるような試合があったときにグッと“ハマる”と思うんです。その点、アウェイに行くと少数精鋭になったり座席がギュッとなる分、自分の声が直接届いている感じがして比較的一体感が生まれやすいと思うんです。だったらその一体感をホームで生み出せないかと、ずっと思っているんですよね。それはもしかしたら年に一回あるかないかみたいな試合かもしれないんですけれど。たとえば昨年の鳥栖戦(2023年9月23日のJ1第28節、味の素スタジアム)は、前半2失点でリードされていて『なんだよ』って思っていたら、ハーフタイムの応援から流れや雰囲気が変わって後半に3点を取って逆転勝利した。その次の試合のスカパラさんが来た時の、試合前から負ける気がしないような一体感とか。そこにマーケ側でちゃんとチャレンジしなきゃいけないんだよな、って」
スタジアムの雰囲気を醸し出すのは、もちろんファン・サポーター。年齢も性別もその他の属性もバラバラな人々をどうひとつにしていくのか、悩みは尽きない。
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