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原川力の芸術的フリーキックでダメ押し。過去、難関となってきた天皇杯初戦を危なげなく突破【2024 天皇杯2回戦 vs.ヴィアティン三重 Match Report/無料公開】

 

©FC TOKYO

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 6月12日、FC東京は味の素スタジアムで天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会2回戦に臨み、三重県代表のヴィアティン三重と対戦。3-0の勝利を収め、今大会の初戦を危なげなく突破した。前半に3得点を挙げてほぼ勝負を決めると、後半は無失点を維持しての完勝だった。

 ゴールを守る児玉剛も含めて落ち着いてボールを動かしていた前半21分、原川力が左に展開したパスからスイッチが入る。このボールを俵積田晃太が運び左からクロス、これを野澤零温が頭で折り返すと、この日は前目のポジションでプレーしていた東慶悟が右足で決め、いい形で先制した。さらに前半37分、原川の右コーナーキックをゴール前ファー寄りで叩いた森重真人のヘディングシュートが右隅に決まり2点差とすると、前半42分には左ポストに当たり跳ね返って枠内に入る直接フリーキックを決めて3点差とした。

 2024年の青赤軍団は一味違う。昨シーズンまで苦手としてきたアウエー、特に九州での試合に勝てるようになり、そして自分たちよりも下位のカテゴリーと対戦するカップ戦初戦に弱かったこれまでが嘘のように、ルヴァンカップの初戦となった2回戦ではJ3のY.S.C.C.横浜を相手に大勝した。この天皇杯でも、JFLの4位に入っている三重を複数得点で下してのスタート。この先もどの大会かを問わず、東京は眼の前の1勝を求め戦っていく。

◆対峙した相手がキツそうだった

 個の力では差がついたが、組織としては健闘していた三重のファイトを踏まえ、ピーター クラモフスキー監督は天皇杯2回戦をこう振り返った。

「三重さんもすごくいい戦いをしていました。それもフットボールだと思います。我々が
自分たちのフットボールをしながら、チャレンジして、いろいろなものを乗り越えながらやれたのはすごく大きかったと思います。前半をコントロールして、自分たちのリズムを掴みながらやれていた。(東)慶悟のゴールはすごく我々のフットボールのなかですごくいいゴールだったと思っています。相手が構えてくるなかでもそこを何回か崩し、セットプレーから得点を奪えたこともよかったと思います。コーチングスタッフが細かく指導しているところを選手たちがしっかりと実践し、フィジカルでもすごくいいものを出し、我々が持っているものをすべて出し尽くして戦ってくれた。強度もそうですし、それが強いパフォーマンスにつながったと思っています」

 1点目は起点のパス、2点目はアシストとなる右コーナーキック、そして3点目は自らの得点となる直接フリーキック。3つの得点すべてに関わり、まさに大活躍だった原川は、自身のフリーキックを「明確には狙っていないですけど。雰囲気ですかね」と、こともなげに評価した。

 もちろん相手ゴールキーパーの手が届かない隅を狙ってはいたが、そこからはフィーリング。安定して精度の高いボールを蹴る原川の能力が、あの場面で活きた。

撮影:後藤勝

 しっかりと質の高さを示しての複数得点と勝利だったが、原川は気を緩めてはいなかった。

「天皇杯は毎年難しいので、次に進めたことがいいことだとは思います。一発勝負なので、なんて言うんですかね──違うメンタリティーで戦うべき試合かなと思います」

 過去、東京が下位カテゴリー相手の天皇杯でことごとく敗れてきたことを伝えると、原川は「そうなんですか」と意外そうな表情を見せた。難しさを認識したうえで勝つものというメンタリティの持ち主だからこそ、例年の東京が陥っていた落とし穴に嵌まらなかったのかもしれない。下位の相手から複数得点を挙げ、前半にほぼ勝負を決めた状態で、安定したゲーム運びで終わらせる。そういう勝ち方でノックアウト方式の大会を勝ち上がっていくことが、これまでの東京は苦手だった。

「5バックで相手が来て、ブロックを組まれていましたし。難しい展開の中でセットプレーで獲れたら楽なので、そこのところはつづけていきたいかなと思います」

 5-4-1で守りを固めてきた三重。しかし必ずしもそのブロックが堅牢ではないことを原川は見抜いていた。

「対峙した中盤の選手がわりとキツそうにしているのは、見てとれました。前半の段階で、たぶん20分ぐらいですかね、その段階でけっこう『ゼェ、ゼェ』と息を切らしていたので、(ボールを動かして相手の守備組織を崩す作業を)つづけていたら大丈夫だなっていう感覚がありましたし、試合は90分間で、相手もあるものなので、相手を見ながらそういうものをトータル的に考えて試合運びが出来たらいいかなと思います」

 3-0のスコアで折り返したあとも、東京は冷静に試合を運んだ。そこにもちろん、ボランチである原川の観察眼も活きていた。

「4点目も大事ですけど、3点を獲って、どちらかと言ったら、チームの現状的として無失点で行くことのほうが大事だと思うので、そこをゼロで行けたというのはいいことだと思います。またリーグ戦は別物なので、そうですね、そこはつづけていけるようにしていかないといけないかな、と」

 この日の原川はフル出場。3得点すべてに関わり、ゲームコントロールをするところまで含め、内容も数字も十分なものを叩き出している。一方で他の試合では途中出場で流れを変え、決定的なチャンスをつくることも出来ている。スーパーサブ的な役割で途中出場するのか、先発に食い込んでいくのか。常に準備を怠らない背番号40のクオリティは、重要な天皇杯初戦でも際立っていた。

撮影:後藤勝

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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