青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

JリーグもFC東京も見直しを図る機会。時間が経つのはあっという間だ【無料公開】

 

どうなるFC東京。

 近頃Web上の話題と言えば、Jリーグキックオフカンファレンスの内容がよくなかったとか、FC東京のエンブレムをアップデートすることは是か非かとか、ピッチ外に関するものが目立ちますね。
 それもそのはずで、Jリーグは開設から30年以上が経ち、東京もJクラブ化から25年が経ちます。四半世紀が過ぎたなりの経年変化はあり、各々が始まった当時の若者は老境に差し掛かろうとしています。以前のままではいられず、経営、運営上の課題を克服するべく動き、その結果に対する反応が出ているのでしょう。

 カンファンレンスに関して言えば、私(後藤)は当日、そちらをキャンセルしてJクラブ(東京)の練習を取材していたのでカンファレンス会場の様子がどうだったのかはわかりません。ただ事前の案内から、TVメディアや地方クラブの地元紙が報道しやすいように配慮したのだろうと想像はしていました。
 森雅史さんが執筆している『森マガ』によれば、今回のカンファレンス開催は観客動員数を伸ばすことを目標にした施策らしく、森さんも「今季が終わったときの結果を見たい」と仰っているように、そのくらいのスパンで見る、考えるものなのかなと思っています。

 変化が大きければ大きいほど反応も強くなります。もちろん熟慮を重ねた言葉よりも感情のほうが表出するスピードは速いですから、何かが発表された当初は賛否両論で賑わいますし、感情的なやりとりがあって当然です。そしてそのラッシュが落ち着いた頃から本質的な議論に入っていけるのではないでしょうか。
 その意味ではFC東京が発表したエンブレムのアップデートについての反応にMIXIの木村弘毅代表取締役社長が「ちょ、まてーい(^◇^;)!」とさらに反応したことは、最初の感情ラッシュの段階を一気に進めて本番の議論に入っていくための導入としてはよかったのかもしれません。

 FC東京の公式サイトにある「【創立25周年を迎えて】クラブエンブレムのアップデートについて~首都・東京のクラブとして都民にとって真のシンボルになるために~」の文言や動画は、それ自体が十分ではなかったりするかもしれませんが、それでも、FC東京が東京に浸透しきれていないという長年の課題にいい加減正面から向き合おうぜというメッセージを読み取ることは可能です。

 どれだけ手を尽くしたとしてもピッチ内の結果はままならないものです。勝つ確率を高めるために最善手を尽くすことは前提として、その上で、Jクラブのフロントは成績がよくなるのを待たず、ピッチ内のチームを強くするのと並行して、イベントを企画したりグッズをつくったり自治体との関係を深めたりして体制を整えていかないといけない立場にあります。優勝したり昇格したりしたときに、クラブの体制が整っていなかったばかりにその機会を飛躍に活かせなければ損失になります。だからクラブは常日頃、恒常的にピッチ外で出来ることに手を尽くさないといけません。勝ってからでは遅すぎるからです。Jリーグも東京も動きつづけています。

 もちろん、それで具体的に、最初に出てくるものがエンブレムのアップデートなのか? という疑問は当然と言えます。
 どちらかと言えば喫緊の課題はスタジアムでしょう。

 これは専用スタジアムかそうでないかという問題ではありません。たとえば国立霞ヶ丘競技場陸上競技場は1958年にオープンしましたが、わずか50年後には老朽化していました。その結果の新国立です。
 2001年にこけら落としを迎えた味の素スタジアムが2050年代にはそろそろ古びてくると考えると、それまでには新しいスタジアムを用意しておかなければいけないことになります。1998年のJクラブ化から25年間。あっという間でしたね。同じ時間で新しいスタジアムを建て、使える状態にしていくのだとすれば、もうぐずぐずしている暇はなく、行動に移すタイミングなのではないでしょうか。あと数年で建設計画を具体化しないとどうなるか、先が思いやられます。

 ですので、今後クラブは何を根幹としていくのか、どういうクラブにしていきたいのか、それに伴って具体的にどういうアクションを起こすべきなのか、そういう観点で東京のファンから意見が出るのはいいことです。アンケートの設置がどうこうではなく、思うところがあれば様々な手段で意見を表明していけばいいと思います。

 クラブ側にまったくファンの声を聞く姿勢がないとも思えません。少なくともシーズンチケットを購入しているSOCIOはアンケートの回答を提出出来るわけですし、その回路を使わずともTwitterでものを言えば届くわけですから(MIXIの木村社長が見ているのにクラブが見ていないわけがない)、どんどん言っていきましょう。

 冒頭のJリーグに関して言えば、フリーランスの意見を無視しているとは思いません。
 私はJリーグの取材については「Jリーグ登録フリーランスライター」という立場になりますが、開幕前に、ざっくり言えば「いまのJリーグの何を課題と考えていて今後どうしていけばよいと考えているか」の意見をアンケート形式で求められました。設問数が多く、締め切りが近くなるとリマインドの連絡もあり、末端のフリーランスからも聞き出したいほどに、いろいろな意見を欲しているのだと理解しました。

 JリーグもFC東京も発信に下手なところはあるかもしれません。しかし時代の変化に応じて何かを変えていかなくてはいけないという意識があるのは確かだと思います。

 問題というかサッカー界が抱える課題が大きすぎて個人的にはなかなかエンブレムのアップデートに意識を集中させるのが大変ですが、これも無視出来ない問題ですよね。ちょんまげを切り落として短髪洋装にするべきか否か、そのくらいの問題であるとは思います。これに関しても、現エンブレムに愛着を持つ人の想いに対するケアを含め、ではどうしていくことがベターなのかを真剣に考える必要があると思います。

 東京タワーをシンプルにあしらうとパリサンジェルマンみたいになってしまうので、それだけはナシでお願いします。

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「青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン」とは

 

「青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン」について

『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンは平均して週4回の更新をめざしています。公開されるコンテンツは次のとおりです。

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●KODAIRA 練習レポートや日々の動静など
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そのほかコラム、ニュース、などなど……
新聞等はその都度「点」でマスの読者に届けるためのネタを選択せざるをえませんが、自由度が高い青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンでは、より少数の東京ファンに向け、他媒体では載らないような情報でもお伝えしていくことができます。すべての記事をならべると、その一年の移り変わりを体感できるはず。あなたもワッショイで激動のシーズンを体感しよう!

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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