渡邊凌磨の“ファーストゴール”はレジェンドの重圧を意識せず、自分に何が出来るかということに集中した結果【コメント/無料公開】
J1第1節浦和レッズ戦、FC東京の先制点はオウンゴールだった。したがって最初の得点者は2点目を挙げた渡邊凌磨ということになる。かつての11番アマラオが「今年こそは優勝」と言い、サポーターに後押しを呼びかけた開幕戦、スタンドとピッチ内の一体感をもたらしたのは現在の背番号11。そのとき凌磨は何を考えていたのか、最新の囲み取材から私(後藤)が質問した範囲を一問一答の形式でお届けする。
◆一問一答
──開幕戦に向けてどのような準備をしていたのか。
そんなに特別なことはしていなかったですけど、開幕戦に向けてというよりも、途中から出たときに何が出来るかっていうのは試合を見ながら色々考えてはいました。
──前半はどちらかと言えば浦和のやりたいことが嵌まって東京が思うように試合を運べないという展開だったが、自分が出たらどうしようと考えていたのか。
前線にボールが入ったときになかなか前向きの選手をつくれていないという印象だったので、後半いつ入ってもなるべく中盤との距離を近くしてボールを受けれればなとは思っていましたね。ただ、ぼくが入ったときにはもうそんな展開ではなかったので、ボールを奪うことと、相手の右サイドの攻撃をシャットアウトすることを意識していました。
──後半は複数の選手がつながって組織的な攻撃が出来ていたと思うが、手応えは。
なかなかうまくいかないときとかもあるんですけど、いい時間帯だけああいうふうに連動出来るんじゃなくて、悪い時間だからこそ(連動出来ていないといけない)というところは、たぶんもっと突き詰めないといけないところかなっていうのは思っていて。ぼくらの時間帯のときに出来てたぶん当たり前だと思うんですけど、そうじゃないときの連動って、まだまだたぶん出来てないところが多いし、後半、あのいい状況でも「あ、ちょっとここ(は、よろしくない)」というのもやっぱりあったので。ぼくとしてはそんなに「ああ、よかったな」とはあまり思ってないので、もっと改善は必要だなと思います。
──開幕戦は先発ではなかったのでやれることが限られたかもしれないが、次は先発の可能性が高くなってきた。次はこうしていきたいと思うことは。
本当に点を獲りに行くところは今シーズン常にやっていきたいと思っているので、そこで、ちがいというか、チームを勝たせられるようになることをいまは考えていて。どんな出場の仕方でも活躍出来るように改善していこうと自分では思っているので、そういうことが試合でよくも悪くも出れば、課題をクリアするために必要なものは揃ってくるんじゃないかなと思っているので。もちろんチームが勝つことがいちばんですけど、自分のやらなきゃいけないことっていうのは、前面に押し出してやっていきたいと思っています。
──開幕の試合後は先発出来なかった悔しさを口にしていたが、11人ではなく10数人に先発の可能性があって昨年のレギュラーも出場機会が確保されないで競争しているという状態自体は、自身にとっていい刺激になっているか。
もちろんなっていますし、日々のトレーニングから、去年別に集中してなかったわけじゃないですけど「もっともっとやらなきゃ」という想いというか、欲というか、そういうものがすごくあるので。出れないことが自分の中で苦になることは正直、開幕のとき出られなかったとしてもなかったし、出れていなくてもやれることもあるし、今はすごく充実してるなとは思います。そういうもののいろいろを含めて。
──高いレベルの競争が自分をより引き上げるほうに作用している?
はい、もちろん。
──開幕戦でゴールを決めてスタンドとの一体感を味わったうえで、サッカーの世界では伝統的にウイングの代名詞であり、クラブとしてはレジェンド(アマラオ)が着けていた番号でもある11番にあらためてどういう感慨が湧いてきたか。
それが、何もないんですよね。誰が着けていたかということに関しては「永井謙佑が着けていた」ということにしかぼくは興奮しないので、ちょっとなんとも言えないんですけど、でも、みんなからそう(レジェンドの背番号だと)言われるから「頑張ろう」と思っていて。
そこで変な重圧を自分に感じていたわけじゃないからこそ点が獲れたのかな、と。たぶん、アカデミーで育っていたら重みがわかっていたと思うんです。その意味では重圧はないので。大丈夫です。
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