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東慶悟、アンカーのポジションで新境地を開拓。新生FC東京のベースを築いていく【J1第27節柏レイソル戦に向けて】

 

撮影:後藤勝


 先週日曜日の8月21日に実施された練習試合FC町田ゼルビア戦のあと、中村帆高はこう言っていた。
「1カ月離脱していたので(その間)みんなに戦術が浸透していて、自分ももっと早く追いついていかないといけないと思いました。(どこが不足?)立ち位置のところやパスの出し入れ、テンポのところは統一されてきている」
 けがで参加出来ないうちに、練習をつづけている選手たちとの間に差が生まれていた。レギュラーメンバーとの差はもっと大きいだろう。それはすなわち、アルベル監督に基礎を叩きこまれていた最初の段階を経て、より発展させるべき二番目の段階で選手が自主的に新しいサッカーを育てていることを意味する。実際、町田戦は相手が前日の公式戦に長い時間出場した選手を除くメンバーだったことを差し引いても出色の出来で多くの決定機をつくっていた。自身の留守中におこなわれたこのゲームについてアルベル監督に感想を求めると次の答えが返ってきた。
「すばらしい人々が揃ったチーム。4人のキャプテンにもすばらしい人材が揃っている。だから不在の間も不安には思っていませんでしたし、全幅の信頼を彼ら選手に置いていました。スタッフについても同様です。今年初めてともに仕事をするスタッフが多かったのですが、時間をかけて交流を深めるにつれすばらしい人材が揃っていることに気づきました。プロフェッショナルであり誠実な人々でもあります。だからこそ外国籍の監督が不在の間でもチームは機能しました」

◆アンカーを始めてから意識が変わってきている

 監督の指導ではなく選手たちによってコンビネーションや約束事を成立させチームが出来上がっていく段階。選手で言えば特にセンターラインに「ピッチ内の監督」たる性質を感じる。ヤクブ スウォビィク、林彰洋、森重真人、木本恭生、東慶悟、渡邊凌磨、安部柊斗、松木玖生……。こういった選手たちが思考と実践を積み重ね、新しい東京が自走し始めている様子が伝わってくる。ハイプレスとショートカウンターで勝点を積み自信をつける作業を挟みながら新しいスタイルを追求しているせいか、ときに焦点がぼやけるときもあれば、成長速度を遅く感じるときもある。中心人物のひとりだろう東は「波をなくす作業をつづけるしかない」と言う。相手が変わることもあり、勝ったり負けたり、内容がよかったり悪かったりするが、おそらくは選手中心の熟成をつづけていくしかない。
 現在はエンリケ トレヴィザンと青木拓矢以外の選手が揃って活動出来ている状況だが、ここで東は継続的にアンカーを務めて己の新たな可能性を引き出すと同時に、チームの成長にも携わっている印象だ。旺盛な好奇心でアンカー業に取り組む背番号10に、現状についていろいろと訊ねてみた。

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