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【新東京書簡】第八十三信『原理原則の刷り込みが終わってからにしよう』後藤(21/9/8)

 

FC東京U-18出身の品田愛斗に何事か語りかける長谷川健太監督。原理原則を大切にする指導者だ。


第八十三信『原理原則の刷り込みが終わってからにしよう』
 
◆ウェイ。その国らしさってなんだろう
 
 毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい──というより、ほぼけなされているだけになってきた。日本代表を率いている森保一監督のことだ。ただ日本代表のサッカーがまずいとして、監督を交代させたらよくなるかというと、そうも思えない。そうすると日本がどこをめざしているのか、そこから再検討しなければいけないということになり、ジャパンズウェイという言葉が飛び交っている。
 
 その国らしさってなんだろうね。思い出すのは、2018年の東京国際ユース(U-14)サッカー大会のことだ。U-15深川の藤山竜仁コーチ(現U-15むさし)とU-15むさしの佐藤由紀彦コーチ(現トップチーム)が率いるFC東京がボカジュニアーズと駒沢第二で激突した試合を観に行った。で、そのボカの子どもたちに“アルゼンチンらしいな”という印象を持ったんだ。たぶん、汚いとまでは言わないけど、ガツガツと激しく球際で削りに来るところとか、ふてぶてしそうな面構えでそう感じたんだと思う。
 
 アルゼンチンでは、サッカーとはそういうものというセオリーがあって、何世代も繰り返されて国民の間に定着しているんじゃないかな。だから代表でもどのクラブでも、多少の戦術の差はあっても似ているように感じてしまう。
 
 野球好きの日本人は、NPBで通用する投手の能力を、145km/h以上の速さの直球のほかにスライダーやフォークなどの球種を持っているものと規定出来るよね。初球からストライクが2球つづいたら、次は一回外して投げるという常識もある。でもサッカーは? 「サッカーとは1点リードした終盤、相手にカウンターの隙を与えず時間を費やしタイムアップの笛を待つもの」という知識が十分浸透していなくて、ドーハの悲劇を招いてしまった。これが1993年、Jリーグが始まった年のことだった。その頃の現役選手が監督になり一世代経った25年後にロストフの14秒。ここから導き出されるのは、ベンチワークによらないピッチ内の対応力向上の必要性で、だから森保ジャパンは選手の自主性を重んじるということになっている。
 
 では、大事なのは選手が自分で考えることなのかな。それとも、サッカーとはこういうものという基礎を日本の全サッカープレーヤーが共有出来ていることなのかな。どうだろう?
 
◆アカデミーで、トップで。クラブで叩き込む原理原則
 

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