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湘南の状態を考えると控えめに喜ぶべきかもしれないが、明るい兆しに充ちた快勝であることには変わりなし【J1第12節「FC東京vs.湘南ベルマーレ」観戦記】

 
 今シーズンの試合後記事としてお届けする「観戦記」。今回はJ1初先発となる品田愛斗と中村拓海を加え、林彰洋が先発に復帰した状態で、第9節からの3試合同様のハイパフォーマンスを発揮しうるかどうかがポイントとなった8月23日のJ1第12節、湘南ベルマーレ戦について書いていきます。
 いろいろな意味でローテーションのしどころだったのでしょう、サガン鳥栖に敗れたあと戦い方を切り換えると同時に外した林が先発に戻り、橋本拳人と室屋成が移籍して懸案のポジションとなっていたアンカーとサイドバックで若武者が腕試し──と相成りました。結果はご覧のとおりで、林も、そして若い品田も中村(拓)も活躍し、原大智のゴールというおまけもついてきましたが、一方で湘南がどのようなサッカーをしようとしているのかは不透明であり、この3-0の勝利を手放しで喜べないのも確かです。
 本来、湘南とは、常に出力120パーセント、200パーセントの戦いをするチームで、たとえ負けても「内容は悪くなかった」とか「やろうとしていることはわかった」という感想がついてまわるのが常でした。3-4-2-1という布陣が自ずと戦い方を導き出している面もありましたし、ハードワークに加えてつなぎの部分も充実させていき、年々、力をつけてきていた印象です。ところが得点の不足を解消するためのものか、最近採用しているトレスボランチ気味の3-3-2-2で味スタに臨んだその戦いぶりを見ると、どうやって点を獲るのか、その道筋が見えにくい。東京とほぼ同数だったクロスは決定的なチャンスにつながりそうな気配がなく、唯一、山田直輝のスルーパスでウラを狙うという手法がピンポイントで目につきましたが、チームとしてどう戦いたいのかがよくわからない状態でした。
 端的に言えば、個の力の差がそのままスコアにあらわれた。それはなぜかと言えば、個の力の差を組織の力で凌駕するはずの湘南に、組織としての迷いがあったからではないでしょうか。10パーセント、20パーセントの戦力差を、同等かそれ以上に押し戻すチーム力がない湘南が相手であれば、強力な個を揃えて整備すれば勝てます。
 とはいえそれが簡単ではないのですし、いくら湘南が迷走していたとしてもJ3のチームよりは格上です。勝利には勝利の価値があります。これらを踏まえて試合を振り返っていきましょう。
 
◆相手ゴール前で危険な匂いを醸し出せなかった湘南
 
「立ち上がりからプレッシャーをかけて、ボールをしっかり奪って前に行く、ということを意識して入って。立ち上がりの内容としてはよかったと思いますけれども……」
 もうこの浮嶋敏監督の総括冒頭だけで察しがついてしまいそうですが、確かにキックオフ直後の湘南には

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