久保建英の台頭も納得のポリシー。個の力を活かし、相手の個に対応する長谷川健太イズムで浦和レッズに立ち向かう【開幕直前】

開幕戦を彩る主役は誰になるのか。どの個が力を発揮するのか。

ゆっくりと小平のコートを歩きながら、長谷川監督が練る構想とは。
取材の終わり際に「監督ご自身はガンバ時代、浦和に勝ち越しているようですが、特に苦手意識はないのですか?」と、質問をぶつけると、長谷川健太監督は「うーん」と言い、困った笑みを浮かべた。
「苦手意識はないですけど、浦和は単純に強いですからね(笑)。いい選手がいますし、昨年もアジアのチャンピオンとなったチーム。苦手云々ではなくJのなかでも指折りのというか、優勝候補の一角ですから。すべてを出して戦わないと勝てない相手ですよね。(しばしの間があり)なんと言っても13位ですから、謙虚に戦います」
和んだ空気で囲みの輪が解けた。
本音が出たようでもある。開幕戦の前は「不安もあり、不安もあり。という感じです」(長谷川監督)。「不安しかないのですか」と問いを継ぎ足しても「いや、楽しみと言いたいですけどね(苦笑)、なかなか。不安もあり、不安もあり。という感じですね」と繰り返した。
ただ、そう言える余裕があるということは、やれるだけの準備はしてきたという自負にもよるのだろう。準備ができていなければ泰然として取材に応じることはできないはずだ。長谷川監督はこうも言っていた。
「やるべきことというか、やりたいと思っていたことをやってくることができました。マリノスとプレシーズンマッチができたこともプラスに働いてくれれば。あらゆる意味で確認作業が最後にできたので、よかったと思っています」
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以前から気になっていたことを長谷川監督に訊いた。
言うまでもなく、戦術はチームを効率的、効果的に動かす術であると同時に、運用の仕方によっては個をスポイルすることもある諸刃の剣だ。個と組織のバランスをどうするべきか。翻って今シーズンのFC東京では、連続したハードワークを課す方針からは組織への忠誠が第一であるようにも見えるが、約束事や相手の布陣への対応策はあっても個の力を妨げるような規制は意図しておらず、むしろオーソドックスな戦い方のなかでできるだけ個の力を活かそうとしているようにも見える。
そこで投げかけた「監督はよく『献身性』という言葉を使いますが、いっぽうで個の力を最大限に引き出そうとしているようにも見えるのですが、個の力についてどう考えていますか?」という質問に対する答えは次のようなものだった。
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