解散を迎えた今シーズンのFC東京U-18【小平恒例、一枚の写真】
12月20日、FC東京U-18が解散の日を迎えた。もしJユースカップに優勝していたら、この日が「2017Jリーグインターナショナルユースカップ」初日。延長戦で決着した「高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 チャンピオンシップ」から中二日では、疲れたからだを引きずってボロ負けしていた可能性もある。
「Jユースカップで京都に負けたからこそ、その後の勝利があった」とは佐藤一樹FC東京U-18監督の弁。Jユースカップのタイトルとインターナショナルユースカップの出場権を逃したかわりに高円宮杯を制して静かなオフを手に入れたことは一種の等価交換なのかもしれない。
写真を撮らせてもらったのは守護神の高瀨和楠。「ゴールキーパーとしては、2失点はいただけない」と、反省しきりだったが、シュート20本を浴びた試合でのビッグセーブ連発は賞賛に値する。優勝に関しては「ここまでの積み重ねがもたらしたもの」とも。思えば昨年、波多野豪が出場できなかったJユースカップ決勝でゴールを守り、0-2から3-2の逆転劇を呼び込んだのも高瀨だった。
ことしもまた、波多野がなしえなかった仕事を継承し、タイトル獲得を達成した高瀨。先日の高円宮杯優勝後、波多野と会食したという。ふたりのあいだでは、どんな言葉が交わされたのだろうか。
Twitterでは「これがFC東京のあるべき姿です」との名言を残した。FC東京U-15深川時代に奥原崇現育成部長の薫陶を受け「相手がどのチームであろうと、首都のクラブとして負けてはいけないというプライドを持って戦ってきた」高瀨が、結果を残したからこそ言える言葉だった。下から衝き上げるアカデミーの選手たちに負けじと、来季はトップチームにもがんばってほしいものだ。
この日、高瀨は大きな荷物を持ってきた。返却する練習着を詰め込んだ袋がいくつもあったのだ。大学でサッカーをつづける彼は、進学のためにも冬は勉学に励む。活躍のフィールドはいっときピッチから勉強机へ。そのさらに先に、一段上のカテゴリーで味わうサッカーが待っている。
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◆書評
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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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