FC東京U-18、大逆転! 過去三年間で5戦全敗の青森山田を破り奇跡のプレミアEAST初優勝! いざCSへ【プレミア最終節第1報】
12月10日、東京ガス武蔵野苑多目的グランドで高円宮杯U-18プレミアリーグEAST第18節(最終節)に臨んだFC東京U-18が青森山田高校に3-2の勝利を収め、現行制度となってから初のプレミア東地区優勝を果たした。
清水エスパルスユースが柏レイソルU-18に1-2で敗れ勝点が37止まりとなったため、最終節で勝点を39に伸ばしたFC東京U-18が替わって首位に浮上。この結果により、FC東京U-18はチャンピオンシップ進出が決定。12月17日に埼玉スタジアム2○○2にてWEST優勝のヴィッセル神戸U-18と対戦、勝てば大会の前身時代も含めて初の、真の日本一となる。
清水vs.柏の結果は試合終了まで耳に入れず、眼の前の青森山田を倒すことだけに集中する。プレミアに復帰した2015年からの三年間で5戦して一度も勝てなかった青森山田を撃破したそのご褒美に、タイムアップの笛が鳴ったのち、吉報が飛び込んできた。清水1-2柏。自分たちが勝ったうえで、清水が引き分けるか敗れるかしないかぎり優勝できないという細い路を通り、チャンピオンシップロードに乗り込むことになった。
戦前に佐藤一樹監督が「J1では2位だった川崎フロンターレが最終節で逆転優勝した」と引き合いに出していたとおりの展開で掴んだチャンピオンシップ出場権。日本クラブユース選手権とJユースカップを制しながら、唯一制覇していなかった高円宮杯に勝ち、クラブの歴史を塗り替えるべく、“カズ東京”は最後の戦いに向けて走っていく。
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自他ともに認める“スロースターター”が、キックオフからギアを全開にして昨シーズンの王者、青森山田に立ち向かった。
「ここ数試合、青森山田は試合の入りがよく、始まり方が重要だと思っていた」と品田愛斗。しかし、きょうの試合でいい入り方ができたのは東京のほうだった。トップスピードでドリブルを仕掛け、守ってはプレッシャーをかけ、機先を制した。
右サイドハーフ横山塁に代表されるサイドからの仕掛け、そして原大智に当てて落とす攻撃でリズムを掴んだ。圧倒していた前半28分、バックパスを青森山田のゴールキーパーが掴み、ペナルティボックス内での間接フリーキックとなる。これは緑の壁に阻まれたが、次の左コーナーキックがほんとうの勝負だった。「このあと、このあと! 次にやられたら意味がないぞ!」と青森山田のキーパーが叫ぶが、その忠告は、難を逃れたチームメイトには届かない。前半30分、品田のキックは鋭い弧を描き、ファーサイドのポストの内側を叩きゴールイン。過去にも決めたことのある“直接コーナーキック”に「ここで決めるか!?」と、ファンも舌を巻く品田の美技で、東京が先制した。
セカンドハーフになっても東京の勢いは止まらない。後半12分、品田のパスを受けた横山が右から切れ込むと、ラストパスを選択せず自ら左足を振り抜いた。今シーズン、小気味いい突破でチームに貢献してきた男が、自らを主役にするシュート。この豪快な一発で東京は点差を2に拡げた。
しかし好事魔多し。後半30分、FC東京U-15深川出身の堀脩大に左足のゴールを決められ、2-1に迫られる。
この状況を救ったのは久保建英だった。豊富な運動量で前線をかき回していたフォワード吉田和拓が脚を傷めたため、替わって後半24分にイン。吉田の不在を感じさせないプレス、ドリブル、ランで機能性とリズムを維持していた彼が、結果的に決勝点となるゴールを挙げた。後半32分のことだった。
「ゴールの瞬間はよく憶えていない。いいボールが来たので、迷わず振り抜いた」(久保)
ゴールを陥れることに集中したハンターの一撃だった。
このあと青森山田は徹底したロングボール攻勢を仕掛け、3-2に追い上げるが、反撃もそこまで。「カズナに飛ばせない」(篠原新汰)との決意で臨んだディフェンスラインの跳ね返しと、至近距離の枠内シュートを弾く守護神高瀨和楠の活躍もあり、天敵の圧力に耐え抜いた東京が、プレミアEAST初戴冠の栄誉を得た。
Jユースカップで上位4位以内に入れなかったため、年末の親善大会への参加はなく、今シーズンはプレミアが最後の大会。最終節で終わりにすることなく、チャンピオンシップまで一週間、現状のチームを延命させたいという3年生の思いが、青森山田撃破につながった。
「歴史を変えるのは自分としても光栄なこと。最後はファン、サポーターのみなさんと喜びたい」と、品田。奇跡のイレヴンは一週間後、再び奇跡を起こすつもりでいる。
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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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