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【有料記事/J3第15節第2報】Review◆賞賛されるべき一戦/コメント◆小川諒也、久保建英、中村忠監督(2017/07/03)

FC東京U-18メンバーの若さと連携のよさもプラスに作用した。

キャプテンマークを巻いた小川諒也。

トップ下の平川怜と前線でコンビを組んだ久保建英。

中村忠監督。

FC東京U-18からトップに昇格の柳貴博。ユース卒の選手たちもみな気迫を漂わせていた。

集合写真。

J3第15節は首位のブラウブリッツ秋田に先制されたあと土壇場で追いついての引き分け。その得点経過だけで賞賛に値する。しかしさらに評価されるべきは内容だった。こぼれ球を決められての失点場面を除けば、ほとんどFC東京U-23がボールを握り試合を支配していた。秋田の前山恭平は試合後、FC東京U-23を指して「若い相手は技術がしっかりしていて、前半は自分たちのボールを獲りに行く守備が機能しなかった。後半は少しずつ機能しはじめましたが」と舌を巻いていたが、そのとおりだった。
この日のFC東京U-23は先発11人の平均年齢が18.09歳、ベンチ入りの3人を含めた14人全員ではさらに低い18.07歳と、若い選手ばかりだった。さらに、小川諒也を除く全員がFC東京U-18出身かFC東京U-18に在籍中の選手たち。山田将之とユ インスの出場停止により、オーバーエイジどころかU-23カテゴリーのトップ選手がほぼ皆無というメンバーだったが、これが奏功した。

まず、若い選手たちは総じて巧みだった。秋田の選手がプレッシャーをかけに来ても軽やかに身を翻してはその接近をかわし、ドリブルで持ち出し、味方にパスを通す。そしてスタミナが豊富だった。90分以上を戦い抜いた最終盤に入ってもゴールへの勢いは増すばかり。
ゲームを支配することは決定機をつくるだけでなく不要な守備の時間を減らして失点のリスクを低くする効果もあったし、加えて体力の自信が諦めない気持ちにもつながっていた。久保建英が言う「自分たちの年齢によるストロングを、きょうは出せていた」とは、この辺りを指しているのではないか。
また、キャプテンマークを巻いた小川の責任感が増すというプラスの効果もあった。精神面の未熟さを指摘されることもある小川だが、この日は取材の受け答えにも気持ちが張った表情を崩さず、退場者を出し大敗を導いてしまった前節の責任を「先輩として示しがつかない」と痛感したうえで、自らのアシストにより同点ゴールをマーク、汚名をすすぐ結果を残した。

決定機の精度については小川も久保も自分たちの課題に挙げていた。決定力の課題はトップチームと共通しているが、トップチームと異なるのは、ボールを運び、仕掛け、いいシュートを撃つところまでがほぼできたうえでの悩みだということ。秋田のプレッシングをものともせず流麗につなぎ、運ぶコンビネーション攻撃は見事だった。
足りないものはたくさんあるにしろ、相手を確実に技量で凌駕し、巧さでうならせるサッカーをして首位撃破まであと一歩と迫った戦いぶりは賞賛されるべきだろう。
日頃、フルコートで11人がまとまった練習をする機会がないFC東京U-23がそれだけやれた背景には、FC東京U-18で培ってきた関係性もあるはず。サッカー観が近く、気心がしれた者同士である久保と平川怜による前線を含め、即興とは思えない意思疎通があった。
「連携は、週半(なか)にいっしょにやっていなくても、いい連携だと思います」
「平川(怜)選手とはわかりあえるものがあるので、きょうはふたりでできてよかった」
こう発言した久保は、大久保嘉人もかくやというほどに、ゴールを決める責任の重さについても語っていた。それも希望を感じさせ、期待を抱かせる材料と言える。
ユース組+キャプテン小川というメンバーで首位に立ち向かうシチュエーションにより、昨年発足したFC東京U-23の真価がようやく片鱗を覗かせた一戦だった。

◯小川諒也の談話

勝点3を狙いに行こうと言っていたのでそこは残念ですけど、

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