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【始動コラム第6弾】日本一を経験した頼もしい最年長選手が示唆するもの、榎本達也「いい環境をベストのために使うことで、レベルが上がる」(2015/01/29)

始動コラム第6弾◆日本一を経験した頼もしい最年長選手が示唆するもの、榎本達也「いい環境をベストのために使うことで、レベルが上がる」

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始動日の挨拶で「移籍してきてすぐに最年長になりました」と語りかけ、ファンのこころを掴んだ、練馬区出身の榎本達也。ことしの3月で36歳となるキャリアのなかには、横浜F・マリノスでのナビスコ戴冠とJリーグチャンピオンシップ優勝もあれば、経営難のクラブで出場機会をうかがう時期もあった。賞賛され、苦渋も舐めた長い年月をふまえ、榎本がメディアに対して発した最初の談話は次のとおりだった。

「ぼく自身ことし19年めというシーズンを迎えまして。ここ四年、ずっとJ2というカテゴリーのクラブを渡り歩いてきて、去年は栃木(SC)でクラブライセンス制度の問題でクラブがなくなるかもしれない(※2012、2013年と二期連続赤字、かつ債務超過に陥り、2015年のライセンス交付が危ぶまれていた)底辺を経験してきて、Jクラブの存続が危ない部分も知っていますし、横浜(F・マリノス)という優勝経験のあるクラブでもやってきました。
いろいろな側面を見てきましたから、このクラブ(FC東京)は何を置いてもいちばんいい環境がすばらしいと感じますし、また、選手が揃っている。最高にプレーできる場所だと思いますが、言い方を変えれば、そこに甘えることにもなりかねない。そういうなかでも、いかに選手が、ほんとうに自分を追い込んでやっていけるか。メンタリティの置きどころは、ゲームのなかで大事になってくる部分だと思います。それをいかに日頃の生活でも、ピッチだけでなくクラブハウスのなかでもそうですし、常に厳しい状況を考えながら生活でき、また、ピッチで表現していくこと……そこに足りないと気づくのは難しいことだと思うんですけれども、それを伝えていくことがぼくに与えられているもの(使命)だと思うし、だからといって悪いところを悪いと言うだけでなく、いい環境を(甘えるためではなく)ベストのために使うことで、レベルが上がるのではとも考えます。それが優勝するための力になってくると思う。それを、外から来た(新参の外様だ)からということでしゃべらないのではなく、コミュニケーションをとって、うまくやっていければいいのかなと思います」

この言葉を聞いただけで、榎本がどんな人間か、FC東京がどういう事態に直面しているか、おおよそのことが掴めるのではないだろうか。

東京にはA代表、世界大会の年代別代表経験者が集中している。また、ぬるま湯と言われかねないほど環境に恵まれてもいる。それをいちがいに否定、批判するのではなく、よい方向に活かしていくことが重要なのではないかと、榎本は考えているようだ。
厳格すぎずぬるくもなく、東京なりに、常に成長を促すちょうどよい気風をつくることはできるはず。それはマリノスとまったく同じでなくともよいし、よく引き合いに出される鹿島アントラーズと同じでなくともよい。

「チームによってカラーのちがいはあります。そのカラーがいい悪いではなく、そのカラーのなかで変えていくべき点、改善できる点、もっとよくなる点はどのクラブにもあると思います。いろいろなクラブを見てきたうえで、いまこのチームに足りない部分、もっとよくなるんじゃないかというところは、ぼくなりに伝えられればいいのかなと思っています。変に東京のカラーがいい悪い(と断定)ではなく、いい部分をよりよくして、悪い部分を目立たなくするのはできることですし、そのことによって愛されるクラブになればいいと思います。また、その(いい環境の)なかでサッカーをやれるというすばらしさを伝えることもぼくらの仕事だと思っていますし、そういうところをどんどん自分のなかから発信していけたらいいと思っています」

榎本はその言葉どおり、積極的に発言していると聞く。しかし、

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