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無料記事 2012_J1第25節【清水エスパルスvs.FC東京】<今週のピックアップ> 権田修一(2012/09/17)

こんなことをしていたら、優勝は夢のまた夢

──前半は相手のゲーム、後半は自分たちのゲームというように、はっきりしてしまった気がするのですが。

権田 相手のゲームというか、自分たちでプレゼントしてあげたゲーム、という感じですね。相手のほうがウチよりもよくて、相手のよさに翻弄されてという試合ではなく、純粋に自分たちが、一つひとつの、ボール際だとか……。
ミスがあるのは仕方がないじゃないですか。そのあとの振る舞いであったり姿勢、ミスした選手がびびってうしろ向きのプレーをしてしまうとか、そういう日もあるとは思うんですけど。やっぱり前半にああいう試合をやってしまうと、45分がもったいないじゃないですか。
「後半のサッカーをやれたら」という言葉を、ことし何回言っているんだ、という話になるじゃないですか。だから、いい加減気づかなければいけないと思うし、こんなことをしていたら、優勝なんて、夢のまた夢になってしまう。

今週は五日間、しっかり練習できる時間があるし(その時間で修正しないといけない)。
もっと言えば、このあいだの横河(武蔵野FC、天皇杯2回戦)との試合で、ああやって横河に東京のサポーターが声援をおくりましたけれども、ああいうことは(平常では)ありえないじゃないですか。それについてはそうとう、むかついているんですけれども。ありえないことが起きたあとのゲームで、立ち上がり、ぼくらはどういう「入(はい)り」ができたのか。
きょうは入りに気持ちを持っていきやすい状況だったと思うんですよね。そういうゲーム(対横河武蔵野FC戦)のあとだし。それでも、きょうのような入りになってしまう。
口では、入りに集中しよう入りに集中しよう、と言う。でも、からだを動かさないと。そこはみんなで一回話さないといけない部分かなと思います。
ことしの開幕戦(対大宮アルディージャ)から、その入りの悪さは、ずっと露呈しつづけてきていて。それでなんとか勝っている試合もあるけれども、勝てた試合を何試合落としたかと考えると、もったいない試合がいくつもある。ほんとうに、もういい加減、あと(リーグ戦は)九試合しかないので。天皇杯は(負けてしまって)もうないし。その九試合を、入りから全部100%でいく、という気持ちで。気持ちというかもう、いかないとだめですよね。

──日頃話し合いはしていると思うんですが、それでも解決しないということは、特別に意識しないといけない?

権田 ちょっと厳しさが必要かな、と思います。ぼくは別に、話し合いの場が必要だとは思わないんですけど。(厳格さを意識する必要があるのは)一つひとつの練習の入り方なのかもしれないし。
みなさんたぶん、練習のスタートからいらっしゃるときはあまりないと思うので、わからないかとは思うんですが、今週、一回ドイ(土斐﨑浩一フィジカルコーチ)さんが練習のスタートにすごく怒った日があって。そういうのって、ゲームにつながると思うんですよね。トレーニングルームで準備して、グラウンドに出て、監督が「いこう」と言って練習が始まった瞬間から、それは(ウオーム)アップかもしれないけど、そこから強い気持ちでやるということは、ふだんからやっていかないと。最初はちょっと流しだから(楽に、で)いいでしょう、みたいな気持ちが、こういうところ(公式戦での入りの悪さ)に出てしまっている気がする。
そこは、(ゴール)キーパーはセパレート(※ゲーム形式の戦術練習などを除くとフィールドプレーヤーと練習メニューが分かれている)なので、ちょっと難しい部分はありますけど、もう一回みんなで、試合の入りから100%でやる、ということをやってみて。それだけでも、だいぶ変わると、ぼくは思います。チャレンジしていきたいし、こうして自分たち(が原因)で「勝ち点2」を失うようなことは、あまりしたくないので。
これが直らなかったら、ACLも(リーグ)優勝もないんじゃないかなと思います。

──前半ピンチをつくられたのも自滅から?

権田 まあ、自滅というかミスしたあとの対応がよくなかったですよね。一歩寄せなければいいけない、寄せられるところを、一歩遅れたりとか。ミスがあったからかわかりませんけど、一つひとつの局面で、ことごとく相手にうまくやられていた気がする。向こうはちょっと、二、三歩がんばれば、プレゼントボールが転がってくるような状態だった。
ウチにとっては難しい展開なので、そこは修正しないといけないと思う。獲られた方が悪いし、せっかく獲ったあとにすぐ獲られてしまうことから、うしろのほうも攻めにいくのか守りに残るのか、はっきりしにくいシーンがあり、だからシュートまでいかれてしまう。いつもだったら、もう一枚プレッシャーにいけるところを、そのままシュートされてしまったり。ちょっともったいなかったですね。

──相手のペースに付き合って攻守の切り換えが速いサッカーになった気もするんですが、もう少し自分たちのサッカーにする時間帯もあったほうがよいですか?

権田 うーん、その「自分たちのペース」というのがなんなのか、きょうはほんとうにわからなかった試合だなと思います。前半は特に。
もしかしたら、ディフェンスラインの前で廻す時間をつくっているペースがウチのペースなのかもしれないんですけど、この前の横河との試合でも、廻しているからウチのペースで、試合に勝てる、というわけでもないじゃないですか。
「ウチの時間」という言葉が、いまのFC東京にとってはよくない気がするんですよね。ウチの時間と言わず、仕留めてしまえばいいわけで。いかに効果的に攻めるかを、これから突き詰めてやっていかないといけないと思うし。
相手がショートコーナーの対応に来なくて、という一瞬だけで、ああやって点が獲れる(後半14分、ネマニャ ヴチチェヴィッチ左CK→高橋秀人→ネマニャ ヴチチェヴィッチ)わけじゃないですか。流れのなかで、ナオさんがバーに当てたシーンもそうですけど(前半21分)、一瞬どこで仕留めるかというところにエネルギーを割くことができれば、得点は生まれると思うんですよね。
極論を言えば、ですけれども、べつに3-0で勝っていれば、相手に支配されていても悪くないじゃないですか。ウチがめざすサッカーとはちがうかもしれないですけれども、マイボールで満足してしまうことが、あまりよくない気がするので。
マイボールで、自分たちが保持しながら、相手がFC東京に持たれていると脅威を感じるような廻しをしていけたらと思うし。それができるようにしていかないと、ほんとうに勝てるチームにはならないと思うんですよ。
たまたま、昨日ぼくがユベントス対ウディネーゼを観たからそう思うのかもしれませんが、ウディネーゼに退場者が出て10人になったせいもあるのかもしれないですけど、相手に引かれても、ユベントスは効果的な攻めをするんですよね。どこかでスイッチが入るとか、三人目の動きとか、ウチがめざしていることを。
そんなに難しいことはしていないんですけど。ピルロがいることもありますけれども、スイッチの入れどころにしても、そういうことが効率的なんですよ。
ずっと廻しているわけじゃなくて、相手ボールにもなるんですけど、攻めきって相手のゴールキーパーに獲られたりするから、そうなるだけで。
支配率が何%かは、もしかしたらウチのほうが高いかもしれないですよね。それがスコアを見れば4-1という点差で終わったことからすれば、仕留めるところで仕留める大事さを感じたし。
ここからはサッカーの質ではなく、勝ちにこだわってやらなければいけないな、と思いました。
(警告累積が)リーチになってしまったので、ツモらないように気をつけます。

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