黒﨑隼人、ラストメッセージ。「もっともっとこのチームは強くなれるし、もっともっとできる」【惜別】(24.11.28)
▼最後に伝えたかったこと
「もっともっとこのチームは強くなれるし、もっともっとできると思うので、さっき団長が言ったように一致団結して、栃木らしいサッカーを作ってほしいなと思います。またどこかで会いましょう! 6年間ありがとうございました!」
11月10日。2024年シーズンの最終節徳島戦。その試合後、ゴール裏のサポーターの前で黒﨑隼人は叫んでいた。
前日、クラブから契約満了のリリースが出されていた。2019年の加入から6年(うち半年は大分に在籍)。アカデミー時代を含めておよそ12年。栃木SCとは何たるかが染み付く黒﨑には、栃木SCはこんなものじゃないよ、という悔しさが残っていた。自分の契約満了のことなどさておき、それを伝えたかった。
「今シーズンを戦ってきて思ったことでした。これでは終われない。これが栃木SCだと僕は思っていません。もっと突き詰められるし、もっと勝負どころを押さえられる。栃木SCにあったものが、今シーズンは不足していたと思います。監督が変わるなど、難しい時期を過ごしましたが、でも僕自身も含めて、今年から試合に出始めた選手たちにもっと伝えられたのではないか、という思いがあります。来年もまた(小林)伸二さんに監督をやってもらえるのだから、当たり前のところが当たり前にできるようになると思うし、そうであれば栃木SCは絶対に良くなっていけると思っています」
黒﨑は今季、ほとんど試合に出ることはできなかったが、ずっと強く握り締めていたものがあった。上を目指そうとする意地であり、プライドだ。
「僕が当時J1だった大分に行けたのは、あの2020年シーズンの栃木の躍進があったからです。あのときはチームとして10位までいけたし、僕自身、栃木に(2021年の途中に)戻ってきてからは、あれを超えるものを掴みたいという一心でした。J1昇格プレーオフに進出するとか、高いステージに一度でも行けたら、きっと周りの目線が変わると思うんです。この前のサポーターカンファレンスで橋本さんが言及していたと思いますが、練習グラウンドなどの環境面についても、もしかしたらもう少し早く動かせたんじゃないかなと思うことがあります。僕たちが結果を出すことで状況を変えられる。このままじゃダメだと思っていたし、まずは結果を出さないといけない。それが現実なんだと感じてきました」
「それが大分から栃木に復帰して以降、ずっと心のなかで思っていたことです。そのためにも試合に出続けて、もう一度ステップアップしたいという思いもありました。チームとして上位に行けば色々なところからオファーももらえます。あの2020年は10位まで行けたから、シーズンオフに4人、明本くん(考浩、現ベルギー1部OHルーベン)と、タシくん(田代雅也、現アビスパ福岡)と、自分と、塩田さん(仁史、現浦和レッズユースGKコーチ)がJ1に行くことができたんです」
自分たちで結果を掴み取れば、ステージを駆け上がることができる。シンプルかつ明快。それがプロの世界の醍醐味だった。
(残り 2410文字/全文: 3678文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ