栃木SC U-18が大一番を制し、プリンスリーグ関東1部残留に望みを繋ぐ。選手たちが苦境で口にしたのは「繋がり」「一人も欠けない」「全員で戦う」【試合レポート】(24.10.13)
▼下位直接対決を渋いウノゼロで制す
栃木SC U-18らしい団結力で勝ち取った貴重な1勝だった。
プリンスリーグ関東1部第16節、健大高崎戦。現在リーグ5連敗中と苦しい状況にあった栃木SC U-18は、プリンスリーグ関東1部残留を懸けて、リーグ最下位の健大高崎とアウェイで激突した。
互いに負けられない一戦は、序盤はボールが落ち着かない展開だったが、迎えた30分に栃木SC U-18が相手ゴール前でハンドを誘ってペナルティキックを獲得。これを中丸功大(3年)が冷静に決めて先制に成功した。
前半の終盤には押し込まれる時間もあったが、抜擢された2年生のGK牧野亮冴が冷静なセーブで仁王立ち、得点を許さなかった。
後半にはFKのセカンド攻撃から横浜丞(1年)が強烈なミドルを放ったり、ショートカウンターから市川遥章(1年)が抜け出して決定機を迎えたりしたが、いずれも相手GKに冷静に対処されて追加点は奪えず。逆に試合終了間際には健大高崎の意地の反撃を食らったが、選手たちは自陣ゴール前で折り重なるようにブロックにいく粘りと気迫の全員守備でゴールを許さず、ついに1点を守り切った。
これで栃木SC U-18は8位に順位を上げ、プリンスリーグ関東1部残留に望みを繋げた。
▼「一つになって」「全員で戦う」
試合後、下位直接対決で掴んだ待望の勝利について、キャプテンの石関琉(3年)は「連敗中であることや相手の順位などは関係なく、自分たちのサッカーをやろうとこの一週間は準備してきました。いい準備がこの結果に繋がったと思います」と笑顔を見せた。
全員が繋がり、一体感を持って、アグレッシブに戦う――。只木章広監督が常々繰り返してきた”自分たちらしさ”は、苦境だからこそ大事な原点として選手たちの拠りどころとなっていた。
「我慢するところは全員で我慢しよう、そういういい声掛けが出ていたし、試合に出ている・出ていないに関わらず全員で戦うというのが栃木SCらしさ。そこは今日のゲームでもはっきりと出せたと思います」(石関)
好セーブを連発したGK牧野亮冴はこの一勝をこう振り返った。
「難しいゲームになることはわかっていたし、準備してきたことが出せたと思います。GKグループはGKコーチを含めた5人が一つになってやってきたし、勝てない時期もみんなで声を掛けて切磋琢磨してきました。一人も欠けないように、少しの気の緩みが失点に繋がるんだ、という意識を強く持ってやり続けた結果だと思いますね」
連敗が積み重なる苦しい状況のなか、チームで繋がり、一体感を醸成するためにも、毎日の練習が始まるときには必ず円陣を組んで全員で掛け声を挙げてからスタートするようにもした。その後のウォームアップの時間には3年生が1年生を”茶化し”、それに対して緩やかに返すような、そんな”壁のない”雰囲気を大事にしながら、学年を越えた一体感や繋がりを強調しながらやってきた。今やアカデミーの選手たちはトップチームのホームゲームの時間には練習や練習試合は入れず、全員がスタジアムに行って応援するように半ば義務づけている。先日の鹿児島戦ではユースの選手たちがゴール裏で応援し、肩を組んで勝利の県民歌を大合唱した。只木監督がいう。
「やっぱりみんな高校も違うし、グラウンドに集まって練習をやって、練習が終わったら帰るという日々を過ごすだけではなかなか一体感は生まれないんです。我々のようなチームは短い時間でも繋がりを持つことを大事にしながら生活して、そういう一体感や団結力で相手を上回っていかないといけないわけですからね」
そうした繋がりや一体感なくして、プリンスリーグ関東1部の猛者たちには対抗できないとわかっているからだ。キャプテンの石関がいう。
「今年はヴェルディやレッズと対戦して感じましたが、やっぱり判断スピードが違うし、個で剥がせる選手がたくさんいると感じます。ただ、只木監督には常々言われているんです。『相手のレベルは関係ないよ。俺たちは全員で繋がって一丸になって戦うんだ』と。僕たちはそういう熱い監督の下でずっと育ってきましたから、強敵ばかりですけど、気持ちを込めて戦うだけだと思っているんです」
▼複数の1年生がプリンス1部で出場中
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