「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

不足は徹底的に補い、これをやり続け、次こそ必ず勝点3を。【J2第29節 V・ファーレン長崎戦 レビュー】(24.9.2)

2024明治安田生命J2リーグ第29節

2024年8月31日19時キックオフ トランスコスモススタジアム長崎

入場者数 11,061人

V・ファーレン長崎 1-1 栃木SC

(前半1-0、後半0-1)

得点者:34分 中村慶太(長崎)、90+3分 南野遥海(栃木)

気温 27.4℃
湿度 69%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 27 丹野 研太
DF 13 坂 圭祐
DF 2 平松 航
DF 33 ラファエル
MF 23 福島 隼斗
MF 16 玄 理吾
MF 22 青島 太一
MF 6 大森 渚生
FW 19 大島 康樹
FW 15 奥田 晃也
FW 32 宮崎 鴻
控えメンバー
GK 1 川田 修平
DF 5 大谷 尚輝
MF 10 森 俊貴
MF 24 神戸 康輔
FW 42 南野 遥海
FW 45 山本 桜大
FW 9 イスマイラ

63分 坂→大谷
63分 大島→南野
63分 奥田→山本
71分 大森→森
88分 福島→神戸

 

▼勝負に不可欠なものが不足

今すぐできることと、今すぐできないことがある。

今すぐできることは球際やセカンド争い、切り替えなどの攻防で負けないこと。五分以上に持っていくこと。

今すぐできないことは小林栃木のスタイルを完璧に表現すること。

後者は試合によって精度がマチマチなのは現段階では仕方がない。技術やクオリティは一気には引き上がらない。

だが、前者は今すぐできるし、どの試合も最低限は表現しないといけない。うまい選手も、そうでない選手も。

その意味で前半はダメだった。不足した。

小林伸二監督が試合後に指摘しているとおり、前半の大半はパス回しのテンポが遅く、有効打を打てなかったことは確かだが、まだ受け入れられる。だが、球際やセカンド争い、切り替えなどの最低限、どの試合でも表現すべきところで後手を踏みまくるのはダメだ。それがないと失点に繋がり、勝ちを掴むのが難しくなる。

 

それが今節の前半に起きた。

例えば、26分のシーンを見ても、長崎の超外国人マテウス・ジェズスに3人掛かりで囲い込んでいても彼には余裕があった。足の裏でキープし、くるっと反転して前進しようとしてファウルをもらった。確かにマテウスはうまい。だが相手がもっと嫌がるファイトを表現し、相手から余裕を削ぎ落さないと勝負にならない。その他、前半はほとんどの球際やセカンド争いの局面で後手を踏み、マイボールにできなかった。

気付けば、栃木にはうまいことを表現できる選手たちがピッチ上に増えた。だからといって、球際やセカンド争いの強弱には許容範囲がある。それに小林監督はその点で妥協を許していない。

うまい選手が戦えて走れるようになる――。これが外してはいけない命題だ。小林栃木が最低限持つべきテーマを表現せずして、勝負にならないし、勝利には至らない。

今節がそうだった。前半は最低限のところで後手を踏みまくっているから失点を許している。たとえボールをうまく動かせずに有効な攻撃を繰り出せずとも、際の攻防など最低限のところを担保できれば失点は防げる。それが基本的な考え方だ。

 

34分の失点シーンに悪しき部分が凝縮している。

(残り 4495文字/全文: 5780文字)

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