「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

掲げた理想とリアルな現実。【2022シーズンレビュー Vol.1】(22.12.14)

▼「ただ蹴らない」という改善

今季のチームが理想に掲げたコンセプトは何だったのか。そして、ぶち当たった現実は何だったのか。

シーズンをレビューしていく前に、大前提にあるものを改めて振り返ってみたい。

ちょうど1年前の12月、時崎悠監督の監督就任がリリースされた直後、このサイトで山口慶強化部長のインタビューを敢行した。

その席で山口強化部長は2020年シーズンの中で理想的だったゲームを挙げ、それが2021年シーズンはなかなかできなかった反省を受けて、2022年シーズンのベースにしていきたいと語っている。挙げられていたのは2020年シーズンの21節京都戦(●2-3)だ。

「栃木は勢いをもって戦おうとしていましたが、それだけではなく、シーズン当初から監督やコーチ陣が提示していたコンセプト、ただ蹴るだけではなくしっかりと逆を向いてプレーすること、それが表現できた試合だったと思います。この京都戦には西谷優希も佐藤祥もボランチで出ていましたが、トップ下のセルヒオも含めて、止めて、逆を向いて、蹴る、その間に逆サイドの選手がオーバーラップをする、といったコンセプトどおりのプレーが多く見られた試合でした。一方、今年(2021年シーズン)は(降格枠が4つで負けられない)プレッシャーもあったと思いますが、背後へのボール一辺倒という展開が多かったし、選手たちもうまく表現できなかったと思います」

浮かび上がるキーワードは「ただ蹴るだけではなくしっかりと逆を向いてプレーすること」だ。

今季、2022シーズンを戦ったチームはこのコンセプトを体現できていたか否か。おおむねできていたと言えるのではないだろうか。このインタビューのとき、僕はこんなことを聞いている。

 

――(その意味で)ボランチが大事になると見られる中、多少プレー強度が不足する選手を我慢強く起用しながらフィットさせていく可能性もあるのでは、と見ているのですが。

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