「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

早々に安い失点を献上してしまう苦しさ。逃げる甲府を仕留め切れず。【J2第23節 ヴァンフォーレ甲府戦レビュー】(21.7.18)

2021明治安田生命J2リーグ第23節

2021年7月17日18時キックオフ 栃木県グリーンスタジアム

入場者数 3,573人

栃木SC 0-1 ヴァンフォーレ甲府

(前半0-1、後半0-0)
得点者:8分 鳥海芳樹(甲府)

天候 晴れ
気温 29.3℃
湿度 63%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 50 オビ パウエル オビンナ
DF 5 柳 育崇
DF 20 三國 ケネディエブス
DF 2 吉田 将也
MF 33 黒﨑 隼人
MF 25 佐藤 祥
MF 41 松本 凪生
MF 10 森 俊貴
FW 11 ジュニーニョ
FW 31 豊田 陽平
FW 29 矢野 貴章
控えメンバー
GK 15 岡 大生
DF 22 小野寺 健也
DF 26 面矢 行斗
MF 13 松岡 瑠夢
MF 14 西谷 優希
MF 16 菊池 大介
FW 32 畑 潤基

46分 吉田→面矢
64分 ジュニーニョ→松岡
77分 松本→西谷
77分 森→菊池
87分 佐藤→小野寺

 

▼自陣に引きこもる甲府を仕留め切れず

8分に与えた先制点で試合の大勢が決まってしまった。

リードした甲府は自陣にブロックを構えながら時計の針を進め、前半の35分過ぎにはシステムを泉澤とリラを前線に残す5-3-2に変更、さらに守りを強固にしていった。敵将の伊藤彰監督が話している。

「あれだけロングボールを蹴られる状況がありますので、自分たちのボールになったときにしっかりボールを動かすプランもありましたが、前半に先に1点を奪って、我々としては受けていたところもあったので、前半の残り10分のところで5-3-2に変えて、中央のところで3枚で弾くことをしっかりやり直そうと。後半もそのままの状態で入りました」

新潟やヴェルディは90分を通して栃木に対してボールを動かして見事に攻略してきたが、甲府はほぼ繋がずに自陣に引きこもる選択をした。後半は冒頭から5-3-2、ときに5-4-1の堅いブロックを築いて栃木のパワー攻撃を跳ね返し続けた。右サイドから攻めようとしても左CBメンデスのカバーリング意識が非常に高く厄介だった。

90分を通じて甲府が放ったシュートはたったの2本。後半はゼロだった。1点を奪ったあとは逃げ切りに重心を傾けたのがよくわかる。果たしてそれでいいのかは相手が考えることなのでどうでもいいが、対する栃木はハーフタイムを迎えた時点で、ポゼッション率が49%、パス本数のトップ10に6人も名前を並べる異常事態だった。

今季の栃木のポゼッション率の一試合平均は39%程度、ハーフタイムを迎えるときのパス本数のトップ10にはせいぜい1人か2人の名前があればいい方だったが、今節はリードした相手の出方があり、それを受けてボールを持つことになった栃木は余所行きのサッカーをすることになり、それでも努力はしたが難しい試合になってしまった、という90分だった。

 

もちろん、難しい展開になるなかで栃木の攻撃に良かった点がないとは言わないが、やはりそれよりも、難しい試合にしてしまった最初の失点の与え方が気になる。

いい試合の入り方をしているにもかかわらず、8分にあっさりと失点した。前節新潟戦でもゲームの入りは悪くないのにあっさりと12分に先制ゴールを献上している。明らかな課題だ。

前節新潟戦の3失点完敗を受け、田坂監督が守備を締め直すことにどれだけ重きを置いたのかはメンバー選考を見ても疑問が残るが、最悪なことに、栃木はまたも前半早々に失点を喫してしまった。

そして、そのやられ方が緩かった。この点を放置しては浮上できないと思うのだが――。

 

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