「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

「J1に行くために練習場が必要、という段階にようやく来ていると思っています」新スタジアム、夏の補強、新練習場など/栃木SC橋本大輔社長 1万5千字超ロングインタビュー(前編)

お待たせしました栃木SC橋本大輔社長のロングインタビュー。1万5千字超。今回は読者から質問を募集してそのほとんどをぶつける形をとった。質問が集中したのは新スタジアム関連と夏の補強について。前編と後編に分けて、まずは前編をお伝えしたい。なお、読者からの質問箇所は青色太字に変えている。

(インタビューは62日に収録)

 

「純資産が増えて2億近くに。債務超過は当分心配しなくてもいい状況です」M&A、GM待望論など/栃木SC橋本大輔社長 1万5千字超ロングインタビュー(後編)

 

●前編の主な質問

・カンセキとグリスタと今後はどっちを使う?

・カンセキを継続使用したときの実感や実績は?

・夏の補強は?

・巣立った選手を呼び戻すことは?

・クラブの将来的な規模や目標はどう考えている?

・新たな練習場を確保する?

 

 

▼カンセキのメリットや駐車場問題

――栃木フットボールマガジンでサポーターから質問を募集したところ約60件ありました。今回はできるだけ網羅したいと思っています。ところでその髪型(かなり短髪)はどうしたのですか?

「切っちゃったんです。(13節)水戸戦(△0-0)で勝てなかったから。勝てないし浄めるかと思って坊主にして。あとは白髪染めをするのが面倒くさくなってしまって(笑)。水戸に勝ったらそのままでいいかと思っていましたが、勝てなかったので『もういいや』と思って次の日に行ってきました(笑)」

――なるほど(笑)。今、カンセキとグリスタの二つを使うなかでメリット、デメリットがあると思います。両方使ってみて、クラブとして来年以降どうするかなど、何が見えてきていますか?

「今年はまずテスト的に両方でやってみようと。どちらがこのコロナ禍で収益を最大化できるかを考えているのが一つ。それから感染対策ですね。カンセキの感染対策のしやすさは昨年2試合やってみてかなりやりやすかったので」

――カンセキは個席だからですね。

「そうです。個席だし、ゲートも広い。来る人からすれば安心できる。屋外だしマスクをしているし、皆さんが声を出さないようにしてくれているので問題ないと思うのですが、気持ちの上で不安があると思います。『人との距離がちょっと近いなぁ』ということを気にしながら90分試合を見てもらうよりは、少しでも安心する環境を、という考え方です。たとえば、コロナの状況が始まってから一時期、映画館がひと席を空けるようになっていました。一席空けて距離をつくるだけで不安が少し取り除かれて、映画に集中できるところはありますよね。そういう精神的な部分のほうがすごく大きいと思っているので、できるだけ安心して試合を楽しんでもらいたいし、カンセキのようにあれだけ広大なスペースがあるとコロナによるストレスみたいなのは軽減するのではないかというのはあります。グリスタもベンチの間隔を大きく取ったりしているのですが、でもやっぱりカンセキの個席での安心感は違うのかなと」

――収益化という意味では、カンセキのほうが良い数字が出ていますか?

「コロナ禍なので、通常と比べるとというのは比較が難しいんですが、そうですね。客単価もそうです」

――客単価。

「客単価が少し上がっているのと、来場者数は出ている気がしますね」

――なぜ客単価が高くなるのですか?

「意識的なところもあるかもしれないですよね。グッズを買ったり、そのときの状況もあったりすると思います。あとは、平均年齢が少しだけですが若くなっていることが今までの試合のデータ上で採れています。グリスタで開催するよりも平均年齢が若干下がっています」

――男女比なども?

「それはあまり変わらないです。ただ、女性に関しては平均年齢が下がっています。男女の比率で言うとそこまで変わっていないかなと思います」

――やっぱり新しいからですかね?

「そうですね、それも要因の1つであるとは思います。昨年からの課題で言えば、ライト層の方を勝敗以外のところで取り込んでいきたかった。J3のときから取り組んでいるのはイベントでした。イベントに一緒に出演してもらったり、イベントを見てもらったり。でも今はそれが一切できない状況ですが、いわゆるライト層の方々からすれば『新しいスタジアムに行ってみたい』というのはあると思います。グリスタのときに良い試合をしても、例えばトイレが汚かったり、待たされたり、そういう要素でリピーターになってもらえないことも要因としてあったので。あとは雨に濡れるとか。そういう点でカンセキはグリスタと違う結果になっているのかなと。カンセキで雨が降った開催日があったのですが(2節秋田戦)、このコロナ禍の中で雨が降っても3000人ぐらい来てもらえました(終日雨だった19節長崎戦も3797人)。グリスタだったらたぶん2000人ぐらいだったと思うんです。試合の途中からではなく朝から雨が降っていて3000人近くに来てもらえた。驚きました。全然大規模な招待もやっていなくて実現してしまったんです。屋根の存在は大きいなという話をみんなでしていました。座席が濡れる・濡れないではなく、逃げ場所がある。濡れたときにコンコースで拭いたりできる。グリスタだとずっと濡れっぱなしで逃げる場所がない。そういうところは『なるほどな』と気づかされる部分はあったかなと」

――松本戦は7千人超の集客がありましたが、121号からケンタッキーを右に入るときに渋滞になっていて。あの辺は渋滞にならざるを得ないと思いますが、クラブとしてもやむを得ない範疇という受け止めですか?

「そうですね。解消したいとは思っていますが、難しいこともあります。県は大規模イベントに関しては面貸しをする想定でつくったらしいんですよ」

(残り 7362文字/全文: 9702文字)

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