「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【Column】栃木SCユースが歩んだ道。そして、 悲願のプリンスリーグ昇格はなるか?

栃木SCユースの3年生、キャプテン神野淳(左)とストライカー坂本昂優(右)

栃木SCユースの浜嶋淳郎監督。柏レイソルU-18出身。仙石廉や島川俊郎の一つ上とまだ若い。

SPRIDE11・12月合併号。栃木SCは横山雄次監督、竹重安希彦選手のインタビューをそれぞれ4ページずつ。仲良しコンビ、栃木ブレックス渡邉裕規選手と栃木SC西澤代志也の対談がなんと8ページも。

 

悲願のプリンスリーグ昇格へ

 

 今回、SPRIDE11月号で栃木SCユースを取り上げた。彼らは来月10月のJユースカップを戦うと、その後、高円宮杯U-18サッカーリーグ栃木県リーグ1部を制した場合12月にプリンスリーグ昇格決定戦が控えている。どうしても上がらなきゃならんプリンスリーグである。

 今年の3年生はわずかに4名。あのJ3降格に絡んで色々あった2015年、栃木SCジュニアユースの3年生だった彼らは、覚悟を決めて栃木SCユースへの昇格を決めた。

 あれから、彼らは栃木SCユースとして初めてクラブユース選手権関東予選を突破し、クラブ史上初めて全国大会出場を決めた。それを今年まで3年連続で成し遂げた。3年生はわずか4名で、ときに2年生や1年生が主体となる状況もあるなかで彼らは意地を見せてきた。そんな彼らの頑張りのおかげで、栃木SCユースのセレクションには昨年と今年と他県から多数の受験生が集まるようになった。危機的状況に陥った栃木SCユースを文字通り、彼らは救った。

 SPRIDEに寄稿した一部をここで掲載したい。

 

 

 かつて一時的に所属人数が減少する危機にあった栃木SCユース。だが、現在は3年連続で全国の舞台を踏むなど右肩上がりの曲線に持ち直している。この先に見据えるのは、栃木県リーグからプリンスリーグへの昇格だ。ユースの選手や監督が、ここまでの歩みを振り返りつつ、昇格への意気込みを語った。

 

 

 栃木SCユースの3年生、神野淳と坂本昂優は栃木SCのスクールからともに切磋琢磨してきた二人だ。

 彼らの両親は栃木SCのサポーターであり、小学生になる前から両親に連れられて栃木県グリーンスタジアムに足を運んでいた。当時、ミスター栃木SCと呼ばれた只木章広(現栃木SC育成部長)らのプレーに目を奪われ、気づけば栃木SCの虜になっていた。彼らが栃木SCのスクールでサッカーを始め、その先のジュニアチームへ加入したいと思うのはごく自然な流れだった。

 2人はスクール、ジュニア、ジュニアユース、ユース、と十年以上も一緒のチームでプレーを続けてきた。ユースでは1年生のときにクラブ史上初となる全国大会出場も決めた。それを今夏まで3年連続で成し遂げた。順風満帆にやってきた歩みのように思える。

 だが、決してそうではない。実は、現在の栃木SCユースの3年生は、彼ら2人のほか、柳陸斗、川原丸暉らを加えて4人しかいない。サッカーは最低11人がピッチに入って相手と競うスポーツだが、これではおよそ足りない。

 彼らにはかつて最大のピンチがあった。そして、それを乗り越えた経験があった。

 

ユースへ進む並々ならぬ覚悟

 

 それは遡ること3年前、2015年シーズンのことだった。栃木SCジュニアユースの3年生の多くが秋になってもまだ進路が定まっていなかった。

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