【インタビュー】「えとみほ」さんが栃木SCでやろうとしていること。マーケティング戦略部長、江藤美帆さんに聞く。(前編)

江藤美帆(えとう・みほ)/栃木SCマーケティング戦略部長。スマホの写真が売れちゃうアプリ「Snapmart(スナップマート)の開発者であり、株式会社スナップマートの創業者(現顧問)。Twitterのフォロワー数は3万人超。
今年の5月1日付けで栃木SCのマーケティング戦略部長に就任した「えとみほ」こと江藤美帆さん。かつてGoogleにも籍を置き、デジタルマーケティングを専門とする広告代理店でも勤務したマーケティングのプロで、IT業界やSNS界隈では「えとみほ」の通称で知られる有名人、いわゆるインフルエンサーだ。
栃木SCはこれまでマーケティングなるものにパワーをかけて来られなかっただけに「えとみほ」さんに期待しているサポーターは少なくないと思う。個人的にもじゃんじゃんやってほしいと思っている。
で、その「えとみほ」さんと言えば、頻繁にTwitter(@etomiho)を更新されていて、その情報がまた刺激的だ。えとみほさん自身は「あくまで個人のアカウント」と断って情報を発信されているのでそうなのだろうが、やはりマーケティングのプロなんだなあ、こうやって周囲を巻き込んでいくのだなあ、と僕なんかは感心しきりだ。このインタビューに向かう道中、信号待ちの合間にふと「えとみほ」さんのTwitterを覗いてみたが、またまた更新しているのである。ああ、このツイートについてもインタビューでぶつけてみようかな、などと、こっちはブンブン振り回され放しだ。こんな感じの勢いでクラブ改革もどんどん突き進めていってくれるのだろうか。
3年ぶりにJ2に復帰し、さあここからクラブの幹を太くしていこうとしている今、「えとみほ」さんは栃木SCで何をやろうとしているのか。ざっくばらんにあれこれと聞いてみた。(インタビューは6月8日に実施)
◎えとみほさんも出演されるトークイベントが8月8日(水)に開催されます。こちらもよろしくお願いいたします。
栃木SCを語り尽くせ!Vol.4『真夏の夜にクラブのキーマンたちが勢ぞろい!スペシャルトークライブ』/8月8日(水)in宇都宮アンテナショップ『宮カフェ』
マーケティング戦略とは?
――今年5月に栃木SCのマーケティング戦略部長に就任されてひと月以上が経過しました(インタビューは6月8日に実施)。えとみほさんのTwitterのツイートを見ていると今後色々なことが起きそうだなあという印象を受けます。SNSを駆使することがマーケティングの大きな柱となると理解していいのですか?
「実はクラブ内ではSNSにあまり絡んでいないんです。自分のTwitterのアカウントはあくまで個人のもの。私はクラブのSNSの設定とか、どうフォロワーを増やすのか、どうハッシュタグを使うのか、どうInstagramを使うのか、これは負担が大きいしリソースがないからやらないでおきましょう、などと戦略レベルやコンセプトを決めることには一部関わっていますが、運用はしていません。以前、広告代理店に勤務していたときに大きな会社のWEBマーケティングの運用支援をしていてノウハウは持っているので、それをクラブの運用担当に伝えている程度なんです」
――僕もえとみほさんのTwitterはあくまで個人のアカウントの発言だと認識しているし、書かれている内容も刺激的だしいいなと思っているんです。
「ありがとうございます(笑)。実は公式アカウントとなるとその運用は難しいんです。SHARPさんやタニタさんのように公式アカウントで誰かに緩い感じでお互いが絡みながら発信するのは相当難しい。運用する人のスキルに依存してしまうので、その人が会社を辞めてしまうと続けられなくなる。私自身の個人のSNSの運用については橋本社長とも話をしていますが、私はクラブの人間という立場を明かしているので、個人のアカウントとはいえ、半分公式のような感覚もあります。ですので、個人と公式の両方のいいとこ取りで使わせてもらおうと思っています」
――新しい流れができると変化に対する拒絶のようなものが起こると思うんです。
「最初は両極端の反応がありました。変えてほしい人、自分たちが作ってきたものをないがしろにされるのは困るという人。私もサポーター歴20年くらいになるのでわかるのですが、サポーターと一口に言ってもいろんな人たちがいるし、意見はバラバラです。私はTwitterだけではなく、Facebookでもサポーターと話をさせてもらうなかで昔の話を聞いたりもしていますが、それほど新しい試みに対する抵抗感はないと感じています」
――マーケティングという本筋のうち、SNSマーケティングはその一部だということですね。
「そうですね。たとえば、栃木はまだホームゲームの来場者のデータを取ることができていないので、取ったデータから施策を打つこともできていません。まずはそこからだと思っています」
――来場者の属性を取っていく作業ですね。
「ホームゲームに来ている観戦者のうち、たとえば、宇都宮市の人がどれだけ来ているのか。それがわかればどこに広告を出せばいいのか、スポンサー営業はどこに行けばいいのか、などを把握できるようになります。今はシーズンチケットを持っている人たちの属性はわかるのですが、たとえば、その人たちのデータを見ていくと、栃木SCは他クラブと比べたときに女性の比率が10%ほど少ないんです。であれば、女性の来場者の比率をあげていければ、観客数も10%ほど増えるのでは、という仮説を立てながら施策を打てるということです」
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