「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料記事】【レポート】天皇杯は初戦敗退も手応えの作新学院大学。その照準は関東2部昇格へ。

(文・写真 永島一顕) 

ラインメール青森に健闘もPK戦で涙

 

天皇杯JFA98回全日本サッカー選手権大会が5月下旬に開幕、本県代表の作新学院大は県グリーンスタジアムでの1回戦で青森県代表のラインメール青森(JFL)と対戦。互角以上に渡り合う健闘を見せたものの、33で延長を終わった戦のPK戦を89で落とし、惜しくも初戦で姿を消した。

 

大学生チームとしては初めて、本県代表として天皇杯に出場した作新大は、JFLの青森に対し、堂々たる戦いぶりを見せた。キックオフからの立ち上がりこそ自陣に押し込まれていたものの、徐々に盛り返して敵陣に踏み込んでシュートにつなげるシーンも演出する。

しかし、前半24分、こぼれ球を奪われたところを一気に突かれて先制を許し、6分後には、敵陣右サイド深くまで攻め込んでいながらボールを失い、ロングボールからGKの頭を越えるミドルシュートを決められてしまう。

2点追う苦しい展開となった作新大だったが、どん欲に攻める姿勢は見せ続ける。すると36分、ゴール前に侵入したFW井上真冬が倒されて自身でPKを決め、1点差として前半を折り返した。

後半、青森に追加点を許さずにゲームを進めた作新大は21分、途中出場のFW吉澤柊がゴール前でのしぶとさを見せて同点ゴールをゲット、延長戦へ持ち込んだ。

延長に入ると運動量で勝る作新大が主導権を握って試合は進む。しかし、前半7分、相手GKのキックの処理をもたついたところを突かれて3点目を奪われ、作新大は再び追う展開となる。

何とか追いつこうと必死のプレーを見せる作新大。その姿勢が身を結んだのは延長の後半3分。左CKを起点にDF永見廉が頭でつないだボールを吉澤が再びネットを揺らして同点、そのまま延長戦も終了した。

決着が持ち込まれたPK戦は、2本目までで1人ずつ失敗。3人目以降はともに譲らず進んだが、10人目でGK菊地大輝のキックがクロスバーに弾かれ、初の天皇杯に挑んだ作新大は惜しくも涙を飲んだ。

 

シュート数で圧倒するなどJFLのチームを相手に堂々たる試合を見せた作新大。小林成光監督は「選手は、やるゲームに関しては全て『勝ちたい』という気持ちでやっているので負けたのは残念。だけど、格上相手にもその気持ちを出して臨んでくれたことは十分に感じられた」と、初の舞台で大きな収穫を得たような表情で話した。

一歩及ばなかった選手たちも「チャンスがあったのに決め切れなかった」(MF法師人将大主将)などと悔しさをのぞかせる。それでも「自分たちがやろうとしているサッカーができてきている」(法師人主将)、「社会人が相手でもボールを持てる時間があったので自信がついた」(井上)などと試合を振り返り、初の舞台で得たものが大きかったことも確かなようだ。

今後、作新大は、一番の目標である関東リーグ2部への昇格を目指し、戦いを繰り広げていく。

 

◆試合結果

▼決勝

作新学院大33(前12、後10、延前01、延後10PK89)ラインメール青森(JFL

〔得点者〕前24分(青)小幡純平、前30分(青)多木理音、前36分(作)井上真冬=PK、後21分(作)吉澤柊、延長前7分(青)太田徹郎、延長後3分(作)吉澤柊

‣作新学院大出場選手

GK89菊地 大輝

DF48柳原 隆二

DF4 永見 廉

DF2 藤原 亮太

DF20慶野 雄大

MF6 鳥海 翔

MF10法師人 将大→101DF47水沼 純也

MF16橋本 七斗→62MF71吉田 悠人

MF7 杉山 伶央→95DF8江口 隼人

FW27井上 真冬

MF43神山 泰一→62FW9吉澤 柊

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