【大東京書簡】第十七信『青赤一筋』後藤(24.9.26)
第十七信 青赤一筋
■現場の戦友
まああの、我々『大東京書簡』トリオはお互いのことはよく話すじゃないですか。なんですけど、よくよく考えてみたら、担当クラブの戦友というか、ふだんの取材仲間のことは話していなかったので、今日はその話を少ししてみようかな、と。
FC東京は当然ながら首都のクラブなので、現場には大手新聞、雑誌、TVの関係者がよく来る。新聞の担当記者も日本代表番を兼ねていたり。まあ華やかなんですが、そのなかでもやっぱり地元ラジオやミニコミ、フリーランスの記者はちょっとなんというか、色が濃いことになってくる。クラブとの関係が深いとか、青赤愛が強いとか。
で、そのうちのひとりが宮本ゆみ子さん。ぼくの場合はもともと出版社~編プロ~フリーという変遷があっても基本ずっとライターで、東京ファンから東京の担当ライターに勝手になったみたいな感じで現在では若干ファン濃度が薄れているんですけど、宮本さんは現役SOCIO22年目。ファン気質を保ったまま、東京を報じる仕事に就いているところがすごいなと思うんですよね。
ぼくは日本のマイナーなロックを中心に音楽が好きなので、音楽ライターやラジオのパーソナリティを生業としてきたという時点で宮本さんをリスペクトしているんですけど、もっとすごいのが彼女のライターとしての単行本の発行部数または売上。紙の出版物不遇の時代に、毎回万単位で自著を刷ってこれまでの著作累計が10万部を超えていますからね。ぼくの『トーキョーワッショイ!』(双葉社)は1万部行っていないんですよ。もうケタが違う。
で、数字を持っていて強いというだけじゃない。好きなものは音楽だったり青赤だったりすると思うんですけど、ヒットを飛ばしている本のジャンルはビジネスマナー書で、Amazonの分類で言ったら「ビジネス・経済」なんですよ。東京が好きで、それを好きで終わらせずに東京の取材に来ていて、というくらいに熱心な人が、趣味とは別に仕事としてひとつの専門分野を扱って多くの評価を集めているというところに、東京好きとしてもライターとしても脱帽するし、尊敬出来る。
言い換えると、こういう人が東京の現場に来ているいろいろな人たちのひとりに含まれているありがたさを感じないといけない。取材者の質は、当然のことながら取材の質に関係してきますからね。
同時にシンパシーもあります。ライターとしての実績に大きな開きがあるのにこんなことを言うのはおこがましいんですけど、音楽を好む感受性があること、東京を追いつづけて20年以上経つこと、ファン心理を忘れずにただしプロとして取材活動をしていることなどは共通するところで。
言うなれば戦友ですね。
「東京を追って20年以上」というのは宮本さんに言われて初めて気づきました。取材をする立場では2001年にサッカー批評の仕事で三浦文丈さんを取材した辺りからで、かれこれ23年くらい。宮本さんとはゼロ年代からの付き合いで、そりゃかつての選手もスタッフも監督もみんなトシとりますよね。
大熊清さんとか城福浩さんとか長澤徹さんとかみんな若かったですよ。ついでに安間貴義さんはHonda FCとかヴァンフォーレ甲府の人だったけど、やっぱり若かった。
だからと言って何かをする気力があるわけでもなくそれを発生させる栄養素も足りていないところに、この度、これまた宮本さんから声をかけられて、イベントに出ることになりました。ありがたいことに、
宮本さんの新著『シゴトがデキる女子の差がつく伝えかた』(Gakken)の発売記念イベントという“てい”をとりつつ、好きに喋らせてくれるということで、つまりは青赤一筋のこのふたりなので(ひとりはFC岐阜も追っていますが……西堂頑張れ)、青赤の話が多くなるということですね。
日頃、サッカーまたは青赤については死ぬほど考えたり喋ったりしていますから、現場を離れたらあまりそういう話はしたくないしメリハリをつけたいタイプではあるんですけど、このイベントは別です。たぶん喋り倒します。現時点での後藤勝総決算的な内容になるかもしれず。ぜひお越しください。
話の流れ的に告知っぽくなってきたなー。せっかくなので開催情報を追加しますね。
2024年9月30日(月)!9月30日です!
時間は19時ちょうどから21時まで!
東京都大田区大森北1丁目3-8 地研ブリューエン ビル B1階にある『沁香苑』という中華のお店です。ぜひこの機会をお見逃しなく!
いやもうほんとに、自分の力だけでこういうことやるの、いろいろな意味でしんどくなってきているんですよ。味方がいてよかった。みなさん9月30日当日はぜひよろしくお願いいたします。
■青赤一筋
そんなわけで取材者の立場で青赤一筋なふたりについて書いてきましたが、もちろんクラブのスタッフにもチーム関係者にも青赤一筋の人は多いです。すごく。でも、そのなかでいま、現場で特筆するべきはとなると、やっぱり森重真人と東慶悟ではないかな、と。
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