「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【直前インフォメーション】J1-25[H] サンフレッチェ広島戦のポイント(24.8.7)

ところどころ、土が露出している。明るい部分が新しい芝だ。

ところどころ、土が露出している。明るい部分が新しい芝だ。

J1第25節、9位の東京ヴェルディ(勝点34/8勝10分6敗 得失点-4)は、5位のサンフレッチェ広島(勝点40/10勝10分4敗 得失点+18)と19時から味の素スタジアムで対戦する。今季、2敗を喫している広島にやり返すのはここしかない。

■ここでサッカーができると思いますか?

さて、今日はどこから撮りますかね。僕はカメラを肩に担ぎグラウンドに入った。3日、ランドでの練習取材はおよそ2週間ぶりだった。

腕がヘボいため、まずはポジショニングが肝要だ。順光の撮影ポイントに移動していると、城福浩監督がグラウンドの状態を確認しながら歩いてくる。そして、こちらを一瞥し、言った。「ここでサッカーができると思いますか?」。

ピッチの各所、土が露出した部分に新しい芝が植え込まれ、まだら模様になっていた。使用頻度の高いゴールエリアは特に傷みがひどい。ピッチの凹凸はアクシデントを引き起こす可能性がある。

7月20日、J1第24節のアビスパ福岡戦(1‐0○)以降のサマーブレイクの期間。東京ヴェルディは主に多摩市立陸上競技場とAGFフィールド(味の素スタジアム西競技場)でトレーニングを行った。「練習場のグラウンドがギリギリの状態のため、整備や養生の期間に充てています。リーグ再開後には芝生の上でトレーニングをやりたいのでね」と城福監督は語った。

この日まで、ブライトン&ホーヴ・アルビオン戦の前日練習のみ、たった一日しか使わなかった。それもセットプレーの練習を2日前に済ませ(26日の多摩陸の公開練習に足を運んだサポーターは見ているはずだ)、負担を最小限に抑えた。

想像していたものとのギャップがあまりに大きかったのだろう。その顔には落胆と失望の色がありありと浮かんでいる。練習後、詳しい話を聞くことになった。

先に断っておくが、城福監督は整備を担当するグラウンドキーパーの仕事を責めているわけではない。東京Vの練習場には容易に解消しがたい構造的な問題がある。

「グラウンドのためなら多少の我慢は受け入れてきましたが、この状態では厳しいものがあります。現実として僕らはジプシーの状況。エキップやメディカルのスタッフは用具を運ぶ必要に迫られ、大きな負担となっています。クラブはいま現在の最善の努力をしていると思いますが、これで現場が充分と感じているかと言えばそうではありません。そのことはずっと伝えてきて、緊急ですよと言い続けています。
僕らが稼いだふたつの親善試合の資金を全部つぎ込んでもらっても構わない。補強のために新しい選手を獲ってくれなくてもいいから、どうにか改善してほしいです。僕がどう思われようと、こういうことを言えるのは自分しかいないのでね」

クラブハウスに隣接するグラウンドであれば、芝生の面積に余裕があり、ピッチを前後左右に移動させることで多少は負担を軽減できる。しかし、現在メインで使用している上のグラウンドはジャストサイズどころか、105×68メートルの規定よりやや小さく工夫の余地がない。

「われわれがやれることはピッチの上ですので、その環境に危機感を持たずして誰が理解してくれるのか。誰が気づき、必死になって戦うのか。両方のグラウンドを借りてほしいとか、どこかに移転をといった無茶なことを言うつもりはありません。とはいえ、このままでやれと言うんですかと……。
2年前に比べたらグラウンドのコンディションははるかによく、できる範囲で努力はしてくれています。けれども、クラブがJ1仕様になっていこうとするいま、選手に対してクオリティを要求する前にエクスキューズがある状態で、年間を通してやっていくのは難しいものがある。現在の条件のなかで、クラブとしてのさらなる対応を望んでいます」

先日、中村考昭社長に海外戦略の話を聞く機会があり、ちょうどレポートを出すタイミングを計っていたところだった。これまでのグラウンド事情の経緯と合わせ、グローバルとローカルの両面から1本にまとめたい。週明けにはお届けできるだろう。

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