「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】『パリへ翔ぶ』 AFC U23アジアカップカタール2024現地レポート(24.5.17)

山田楓喜の左足はカタールでも強い輝きを放った。

山田楓喜の左足はカタールでも強い輝きを放った。

4月15日に開幕したAFC U23アジアカップカタール2024、U‐23日本代表はグループステージを2位で突破し、準々決勝、開催国のカタールを4‐2で撃破。準決勝はイラクを2‐0で破り、目標のパリ五輪出場権をつかみ取る。決勝はウズベキスタンを1‐0で下して、2016年以来4大会ぶりの優勝を果たした。
東京ヴェルディから選出された山田楓喜は日本をアジアの頂点に導くゴールを決め、大会2得点1アシストの活躍。アカデミー出身の藤田譲瑠チマ、山本理仁(ともにシント=トロイデンVV)が長く引っ張ってきたチームだ
SBG特派員=松尾祐希(サッカーライター)は彼らの戦いをどう見たのか。

※大会の結果や試合データはこちら

■薄氷を踏むような戦い

さらなる成長を目指してやってきた者もいれば、新たな環境で技を磨くために巣立っていった者もいる。キャリアは三者三様だが、緑のユニホームに袖を通してヴェルディグラウンドで技を磨いた日々に変わりはない。

京都サンガF.C.のアカデミーで育ち、努力を重ねて代表で地位を築いたMF山田楓喜。東京ヴェルディジュニアからトップチームまで駆け上がり、大岩ジャパン立ち上げ当初から絶対的な主力として活躍してきたMF山本理仁(シント=トロイデンVV)。山本と同じくアカデミーで育ち、リーダーとしてパリ五輪世代を牽引してきたMF藤田譲瑠チマ(シント=トロイデンVV)。緑の魂を持った3人が日の丸を背負い、AFC U23アジアカップの優勝とパリ五輪の出場権獲得に大きく貢献した。

「アーレ! アーレ! アーレ! ジャポン」

勝てばパリ五輪の出場が決まる準決勝のイラク戦。キックオフ直前に懐かしいメロディーと、聞き覚えがあるチャントが聞こえてきた。スタンドを見ると、サポーターたちが青い袋を振りかざしている。1998年のワールドカップ・フランス大会を前にサポーターたちが作成した応援歌に背中を押され、日本は序盤から相手を圧倒。2‐0で勝利を収めると、選手たちは感情を爆発させて喜びを分かち合った。

勢いに乗った日本は続く決勝でウズベキスタンを1‐0で撃破。終始、相手に押される展開のなかで、後半アディショナルタイムに途中出場の山田が値千金の決勝弾を得意の左足で決めた。MF荒木遼太郎(FC東京)からラストパスを受けると、わずかに空いたシュートコースを見逃さず、ディフェンスの股下を抜く技ありのコントロールショットが炸裂。劣勢を跳ね返す一撃が日本にアジアNo.1の称号をもたらした。

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