「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第65回 彼らも昇格を目指す ~東京ヴェルディユース 2023 初秋~(23.9.29)

第65回 彼らも昇格を目指す ~東京ヴェルディユース 2023 初秋~

裏に抜け出した白井亮丞(3年)が相手の前に入り、競り合いながらもつれ、倒れる。主審が笛を吹き、ペナルティスポットを指差した。当然、キッカーは白井だ。右足を豪快に振り抜き、ネットを揺らした。

9月23日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2023 関東の第13節、東京ヴェルディユース vs 三菱養和サッカークラブユース(ヴェルディグラウンド)。18分、東京Vユースがエースのひと振りで先制点を奪った。

ゲーム序盤は三菱養和SCユースのプレッシングと当たりの強さにリズムをつかめなかった東京Vユースだが、スコアを動かすことでペースを引き寄せる。

21分、直接フリーキックのチャンス。ゴールまで20メートルと少しの位置、川村楽人(2年)がボールをセットし、じっとゴールをにらむ。狙いは上ではなく下。ビュンと地を這うシュートを左隅に突き刺した(今季7点目)。

「前節、(浦和レッズユースに1‐2で)負けてどうしても勝ちたかったゲーム。自分のシュートのパンチ力は武器だと捉えているので、思い切って狙いました」(川村)

さらに東京Vユースは27分、白井のラストパスを受けた井上寛都(2年)のゴールで3‐0とした。

この日、僕は今年初めてユースの取材でランドに足を運んだ。今季はどんなチームで、いかようなプレーが見られるのか興味津々である。立て続けにゴールを重ねる爆発力を見せつけられ、目をぱちくりさせるほかなし。何より、誰も彼も大変活きがよろしい。

三菱養和SCユースに1点を返され、3‐1で迎えた後半、東京Vユースは勝利を決定づける4点目を叩き込んだ。47分、山本丈偉(2年)のクロスを受けた白井が冷静にディフェンスをかわし、左足でシュートを決める(今季、チームトップの12点目)。

トップに練習参加した際も見てきたが、白井は右足の強力なシュートに加えて左も振れる。183センチと高さがあり、7月12日の天皇杯3回戦、FC東京戦(1‐1△ PK8‐9●)で決めたヘディングシュートは記憶に新しい。周りが見えていて、フリックなどの小技も巧みだ。もはや、このレベルで止められるアタッカーではない。

その後、ピッチの各所で激しいバトルが繰り広げられるなか、三菱養和SCユースの反撃をオウンゴールの1失点に抑え、東京Vユースが4‐2と勝利した。

今年のチームは3年生が7人と少ないこともあり、2年生が主力のおよそ半分を担っている。トップに2種登録されている白井、大久保祐希(3年)、川村、川口和也(2年)。年代別代表に選出される山本、半場朔人(2年)、仲山獅恩(1年)などタレントが粒ぞろい。今後の伸びしろはかなり見込めそうだ。

僕にとっては初めて目の当たりにする選手が何人もいて、多くの発見に恵まれたゲームだった。

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