「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】『みんなが楽しめる場所へ』 新機軸を打ち出した、東京Vのプロモーション事業に迫る(23.6.9)

今季から岡田恵さん(広報部 事業広報マネージャー)がプロモーションを主導し、さまざまな施策を打ち出している。

今季から岡田恵さん(広報部 事業広報マネージャー)がプロモーションを主導し、さまざまな施策を打ち出している。

今年に入ってから東京ヴェルディでは、3試合を同じテーマで設計したスペシャルイベントの実施、キービジュアル、ポスター製作における一貫したストーリー戦略、5人組バンド Kroi(クロイ)のミュージック・アンバサダー就任など、プロモーションにおける新たな取り組みが目立っている。
どのようにクラブをブランディングし、周囲の関心を集め、集客につなげようとしているのか。仕掛け人である広報部 事業広報マネージャーの岡田恵さんに訊いた。

■プロ野球からJリーグへ

岡田恵さんは昨年5月、東京ヴェルディに入社し、今季からクラブのプロモーション全般を主導している。それまでの経歴は野球一色だ。

「中学生の頃から千葉ロッテのファンで、学校が終わって制服のままマリンスタジアムに通っていましたね。小宮山(悟)さんやジョニー(黒木)がいた時代、平日の観客は2000人から3000人程度。周りの友だちをどう誘ったら一緒に野球を観にいってもらえるか、こんなふうに魅力を伝えたら興味を持ってもらえるかもしれないといつも考えていました。いまの仕事はその延長線上にある気がします」

大学卒業後、就職した印刷会社は千葉ロッテマリーンズの広告を取り扱っているのが志望理由だった。以降、千葉ロッテに出向し、広告関係のディレクションを担当。埼玉西武ライオンズで7年、横浜DeNAベイスターズで4年、グラフィックデザインをはじめ、SNSや映像を駆使したPR活動、プロモーションへと幅を広げ、専門性を高める。Jリーグでの仕事は今回が初めてだ。

まず、岡田さんが最初に着手したのはクラブからの情報発信のやり方だった。

「プロ野球と同じ手法が、サッカーにすべて当てはまるとは考えていません。ただ、プロモーションの考え方、最適な進め方は野球での経験がベースになっています。自分がここにきて驚いたのが、週末の試合告知、イベントの案内をその週の頭から始めることでした。こんな直前では、新しいお客さんを呼び込むのは難しいだろうなと。すでにチケットが手元にあり、いつもスタジアムに通っていただいている方々には充分かもしれませんが、あらためて機会をつくろうとする人にはタイミングが遅すぎるんです。ヴェルディに興味を持ってもらったとして、今度いってみようよと家族や友人と予定を合わせる場合、ほかの用事もあって1ヵ月か、1ヵ月半は大抵必要ですから。その行動を理解したうえ、情報を出していきましょうとつくり変えました」

そこで、今季からホームゲーム3試合を1ブロックとし、年間スケジュールの大枠を開幕前に決定。イベントの情報は1ヵ月半前には出すようにした。

次のページ

1 2 3
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ