「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】検証ルポ『2022シーズン 緑の轍』第八章  奈良輪雄太「今年か、来年じゃないですか」(22.12.23)

シーズン終盤に復活を遂げた奈良輪雄太。昨日、契約更新が発表された。

シーズン終盤に復活を遂げた奈良輪雄太。昨日、契約更新が発表された。

第八章 奈良輪雄太「今年か、来年じゃないですか」

■2022シーズンの到達点

J2第38節を終えて、6位のベガルタ仙台とは勝点10差、得失点12差の12位。わずかに可能性が残るJ1参入プレーオフ出場に向けて、東京ヴェルディは勝ち続けるしかない状況に追い込まれていた。

10月2日、第39節の仙台戦は後半に染野唯月、阪野豊史がゴールを決めて2‐0の勝利。第40節のいわてグルージャ盛岡戦も後半、染野とンドカ・ボニフェイスの得点で2‐0と勝点3を獲得し、4連勝とする。

岩手はホーム最終戦で試合後にセレモニーが催される都合、監督会見とミックスゾーンの取材が重なる変則の流れになった。通常、アウェーの監督は先に会見を済ませるものだけどなあ、と僕はぶつくさ言いつつも対応するしかない。

先にできるだけ選手の話を聞き集めようとしていたところ、広報担当から「もう会見始まってる。すぐにいって!」と言われてダッシュだ。慌てて会見室に飛び込むと静まり返っており、城福浩監督とバチンと目が合う。「では、お願いします」と城福監督が司会の人に言い、試合の総括が始まった。

東京からきた記者は僕ひとりだったため、待っていてくれたのだ。待たされることはいくらでもあるが、その逆は初めての経験である。

「われわれの立ち位置から考えれば、誰がどう見ても他力本願の難しい状況。人事を尽くして天命を待つほかない3試合のひとつを、選手たちが本当に魂を込めてやってくれました。焦れずに戦い、相手陣でテンポの速いパス回しをやり続けたからこそ、自分たちが望むような展開で2点を取れた。やり続ければ必ず点を取れるという成功体験を得られ、相手の強力なフォワード陣をゼロで抑えられたことはチームにとって自信になったと思います」

城福監督の試合を振り返りを恐縮しながら聞いた。

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