「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】検証ルポ『2022シーズン 緑の轍』第三章  堀孝史「ヴェルディのサポーターが求めるものは」(22.12.1)

第三章 堀孝史「ヴェルディのサポーターが求めるものは」

■堀体制の限界

そろそろシーズンの3分の1を消化しようという頃、ふと何かが足りないと気づく。昨季、チームトップの17得点をマークした小池純輝に、まだゴールがなかった。

ディフェンスの背後を取る動きは以前と変わらずに繰り出していた。だが、肝心のボールが出てこない。

「昨年と比べて、ペナルティエリアでボールに触る回数が減っていて、それはシュート数の少なさにも表れていると思います。シュートまでいけないのは自分の動き出しに問題があるのか、それともパスの出し手から見逃されているのか、よりチャンスに絡めるように自己分析を進めているところです。相手の背後を取るにはポイントがいくつかあり、それが重なるほど得点の確率は上がる。条件が整った場面で自分が裏に走り、ボールが出てこないともったいないという気持ちにはなりますね。今季はそのタイミングを逃す回数が多い」

思うようにいかない状況でも、常に自身に矢印を向けるのが小池である。かみ合わないのはあくまで相互理解の問題だと話した。

一方で、春に35歳の誕生日を迎えたベテランだ。どれほど肉体的な素質に恵まれ、入念にケアを施してもフィジカル面の変化があってもおかしくはない。

「質量ともにこれまでと同じトレーニングができていますし、科学的なデータ、GPSデバイスの数値にも低下は見られません。年齢のことは周りからよく言われますが、僕自身は変化を実感してないです」

そう語る小池に、ついに初得点が生まれたのが、6月21日、J2第17節のブラウブリッツ秋田戦だ。2点リードした58分、梶川諒太のアーリークロスに合わせて大外からボックスに入り、すべり込みながら右足のワンタッチでネットを揺らした。

しかし、このゲームは3‐3のドローに終わる。次の第18節ツエーゲン金沢戦も小池は得点を決めて2試合連続ゴールとなったが、1‐3で敗れた。せっかく点を取るべき人が取っても、チームの勝利が伴わなければ勢いは出ない。

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