「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【新東京書簡】第九十信『日本代表の大金星。城福浩、かく語りき』海江田(22.11.27)

新東京書簡

第九十信 日本代表の大金星。城福浩、かく語りき

■大金星に見るふたつの側面

浅野拓磨のシュートがニア上を破ってネットを突き上げた瞬間、ぬああっ、とヘンな声が出た。歓喜にはほど遠い。バカみたいに口を開け、リビングのソファーで固まってしまった。クラッカーに乗せた生ハムがどっかに飛んでいったが、行方を探す気にもなれない。

ついに始まったFIFAワールドカップ・カタール大会。日本は2‐1の逆転勝利でドイツをうっちゃり、白星スタートだ。マヌエル・ノイアーの牙城を崩し、2点も奪う日が来るとは。

後藤さんよ、サッカー界における冷徹さの象徴、あのドイツの矢印がバラけ、おたおたしまくっていたぞ。強豪国が血相を変えることほど痛快なことはない。

で、つくづくおれはダメな男だなあと情けなくなったね。ドイツの圧力をモロに受けた前半、PKで先制を許し、森保一監督がテコ入れした後半、75分に堂安律のゴールで同点に追いつく。よし、初戦は引き分けでオッケーだと思っちゃったもん。

相手は明らかに変調をきたしていて、イルカイ・ギュンドアン、そしてジャマル・ムシアラ(サイコーにそそりますね、彼は)がピッチから退き、脅威は大幅に目減りしていた。とはいえ、ドイツであることに変わりはない。W杯4回制覇の輝かしい実績、蓄えた経験値では天と地ほどの開きがある。

ここは専守防衛にならないようにちょいちょい攻め気を見せつつ、勝点1を大事に仕舞い込んでゲームをクローズだ。色気を出して、結局ゼロに終わったら目も当てられない。したら、浅野の渾身の一撃である。まるで自分が食らったような衝撃で、ノイアーとほとんど同じ顔をしていたと思う。

翌日は、東京ヴェルディの今季最後の練習日。トレーニングを終え、スタッフとのボール回しから引き上げてきた城福浩監督と、まずはその話になった。

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