「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第61回 澤井直人が新国立のピッチを駆ける ~クリアソン新宿~(22.10.7)

澤井直人はクリアソン新宿の主力としてプレーする。初の国立競技場でどんなパフォーマンスを見せるのか。

澤井直人はクリアソン新宿の主力としてプレーする。初の国立競技場でどんなパフォーマンスを見せるのか。

クリアソンの紫のユニフォームに身を包んだ9年目のシーズン。4月3日、JFL第4節のMIOびわこ滋賀戦、新天地で迎えた27歳の誕生日をピッチで祝うはずが、時節柄の体調不良により今季唯一の欠場。ビシッと決めるべきところでずっこけるあたりは、いかにも澤井ならではのご愛敬である。

トレーニングは夜から行われ、日中はクリアソンの社員として業務に勤しむ。8月からクラブ事業部に配属され、新宿の街を駆けずり回って人と会う毎日だ。

「これまでもスポンサー企業への挨拶に伺うことはありましたが、それはあくまで用意された場所に出向いていただけ。自分からアプローチし、アポイントを取りつける大変さは初めての経験です。相手側が選手としての僕をご存知かどうかは半々ですね。関係がゼロからスタートする場合は自分を知ってもらい、売り込むところから話を始めます。もちろん不慣れな部分はありますが、トライすれば誰かしら助けてくれる。自分が学ぼうという姿勢を見せれば、周りが支えてくれる。その点はサッカーと一緒だなと思います」

サッカー村から一歩外に出てみなければわからないことは多い。新たな視点を手に入れた澤井に、メガタウン東京における東京Vの立ち位置はどう映るのだろう。

「この仕事を始めたばかりの自分が言うのはおこがましいですが、伝統のあるヴェルディは新宿と同じくらいのブランド力がある。僕がいま実感している東京の可能性の大きさからすれば、人や企業を引きつけるためにもっといろいろなやり方があるのでは。いまの子どもたちは川崎フロンターレや横浜F・マリノスに憧れているかもしれませんが、自分の両親ぐらいの年齢層には依然としてヴェルディのネームヴァリューは強い」

現在、クリアソンが全精力を傾けて取り組んでいるのが、10月9日、国立競技場で開催するJFL第24節の鈴鹿ポイントゲッターズ戦である。「新宿の日」と題し、さまざまなイベントを企画。来場者2万人を目指し、すでに満席率は73%に達している。

「僕自身、国立競技場でプレーするのは初体験。昔、タカさん(高原直泰)が国立でゴールを決めた試合を観にいき、えらく感動したのを憶えています(2013年5月12日、J2第14節のヴィッセル神戸戦、東京Vは高原の2得点で2‐1の勝利を収めた )。JFLで2万人に迫ろうかという大観衆の前でサッカーができるなんて想像もしていませんでした。鈴鹿戦ではいいパフォーマンスを見せ、とにかくチームが勝てるように全力で戦います」

澤井が東京Vに先んじて新国立のピッチを駆ける。現在クリアソンは15位で、JFL残留の懸かった正念場の戦いだ。大一番の勝負を制し、活躍の場がさらに広がっていくことを祈る。

 

付記:「新国立で初のJFL開催へ! クリアソン新宿が“国内屈指の大バコ”でホームゲームを行なう意義『やるからには黒字にする』」(サッカーダイジェスト)も合わせてどうぞ。

 

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