「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.46 凌我がゆく ~FW27 佐藤凌我~(22.4.21)

プロ2年目の佐藤凌我がいよいよ勢いに乗ってきた。今季初得点を挙げるまではやや苦しんだが、J2第6節のモンテディオ山形戦から5戦4発とコンスタントに活躍。前線で欠かせない選手となっている。
魅力は、得点に特化したボックスでの質の高い仕事と、プレスの先陣を切り、二度追い、三度追いを厭わないフォアチェックだ。味方からボールを引き出すために何度でも動き直し、ゴールの確率を少しでも高めるプレーを黙々とやり通す。
今季、目標に掲げるのは、東京ヴェルディのJ1昇格とルーキーイヤーにマークした13得点2アシストを超えること。目的地に向かって一意専心、今日も佐藤凌我は走り続ける。

■東京ヴェルディと佐藤凌が結ばれた幸運

3月30日、J2第7節のFC琉球戦、東京ヴェルディは2点ビハインドの展開をものともせず、5‐2の逆転勝利を飾った。

この日の試合後の取材はオンラインではなく、監督、選手ともじかに話せる対面形式が採用されていた。ソーシャルディスタンスを取るだけで、従来のやり方に近い取材環境が用意されるのはじつに3年ぶりである。

遠くまできた甲斐があったなあと僕は思い、試合に勝った高揚感も手伝ってふわふわしていた。監督会見を終え、選手たちの通るミックスゾーンはどこだろうとうろちょろしているうちに、すでに数人がチームバスに乗ってしまっていた。

あいにく、去り人に2得点に絡んだ佐藤凌我が含まれていると判明する。そこで、やむなく鈴川千陽広報にヘルプミー。申し訳ないけれど、バスから降りて少しだけ話を聞かせてくれないかと頼んだ。

コメントをあきらめる準備はできていた。断られても仕方がない、ダメもとのお願いである。基本的にメディア対応は選手の仕事の一部ではあるが、今回のケースはわざわざ付き合ってやる義理はない。完全に事前確認を怠ったこちらの手落ちだからだ。

すると、窓越しに見える佐藤凌は話を聞いて腰を上げ、ひょいひょいと軽い足取りでステップを降りてきた。

なんて気のいい人だろう。この選手がきてくれてよかったと思わせられるのはもう何度目か。あらためて、東京ヴェルディと佐藤凌が結ばれた幸運を思った。

(残り 1730文字/全文: 2616文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ