「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【インタビュー】A Secret on the Pitch ピッチは知っている 〈5〉『僕はずっとヴェルディの選手です』渋谷亮(北海道十勝スカイアース)後編(19.3.20)

A Secret on the Pitch ピッチは知っている 〈5〉
『僕はずっとヴェルディの選手です』渋谷亮(北海道十勝スカイアース)後編

※前編はこちら

■簡単に手に入らない。だからこそ、いい。

――クラブとの契約の話し合いで、相手側は竹本一彦ゼネラルマネージャーと山本佳津強化部長?
「そうですね」

――どんな流れで話し合いは進んだんですか?
「契約の話し合いの前に、(北海道十勝)スカイアースのほうから獲得のオファーが出ていたんです。それに対してどう考えているかを訊かれ、僕は来年も選手としてやりたいという要望を伝えていたんですね。だから、ヴェルディとの契約が満了となる時点で、僕がどこかのチームで現役を続けることは双方の合意としてありました」

――なるほど。
「今回、本当にありがたかったのは、選手としての経験がこれからのヴェルディのために生きると言ってもらえたこと。いろいろな経験がきっとヴェルディに還元されるだろうから、やり切ったあとに戻ってくればいいと。考えようによっては、せっかくレンタルに出して育ててやったのに、クラブ側の望むタイミングで帰ってこない恩知らずと受け取られてもおかしくないと思います。僕の意志を尊重し、やるからにはたくさんのことを吸収してこいと送り出してもらえたのは感謝しかない」

――ずいぶんと手厚い扱いですね。渋谷選手については、いずれ選手生活を終えたあと、フロントの仕事を任せたいというクラブ側の計画があったと聞いています。以前からそういった話があったのは事実ですか?
「はい。羽生(英之)社長や皆さんがゆくゆくはそうしたいと言ってくれていて、それは僕の望むものでもありました。ずっとヴェルディのために働きたいと思っているので。だから、今回もクラブ創立50周年という区切りのいいタイミングで、そういう道を用意してくれていたんだと思います」

――迷いました?
「迷ったし、悩みましたね。何回も。ヴェルディに戻りたい気持ちはありましたし。いままでの僕にとって、サッカーをやる意味自体がヴェルディの選手としてプレーすることでした。プロになりたかったのは、ヴェルディの選手になりたかったから。ほかのチームと契約できても、それがヴェルディにつながらなかったら何の意味もないと考えていたんです。だから、プロになったとき、ここでクビになったら選手を辞めるつもりでした」

――ところが、まだ辞められない、続けたいという気持ちが湧き上がった。
「4年間、いろいろなチームにいかせてもらい、サッカーがヴェルディだけではないとわかったこと。多くの人たちとのつながりのなかで続けていけば何かを得られる、まだまだ成長できると感じました。もちろん、もっとやりたいんだという単純な気持ちも。次に帰ってくるときもフロントではなく、選手として復帰したい」

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