「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【有料解除】【SBGニュース】人間・井上潮音2018(18.8.3)

21歳となった井上潮音。おめでとう! だんだん顔つきに男っぽさが出てきたような。(撮影は8月2日)

21歳となった井上潮音。おめでとう! だんだん顔つきに男っぽさが出てきたような。(撮影は8月2日)

■変わっていくことの大切さ、変わらないことの尊さ

3日、21歳の誕生日を迎えた井上潮音。東京ヴェルディのポップアイコンとして期待を集める一方、サッカー以外の日常生活は……。

【有料解除】【SBGニュース】井上潮音、ハタチの誓い(17.8.3)

というわけで、2018年版「人間・井上潮音」の現状報告をお届けしよう。

まず、井上はこの1年で自身に起こった変化についてどう考えているのだろうか。自己分析を語ってもらった。

「誰かとごはんにいきたいと思うとき、以前は待ちの姿勢ばかりだったんですが、自分から先輩に声をかけて連れていってもらうようになりました。そこは一番変わったかな。経験のある人からいろいろな話を聞けるのは、本当にタメになります。僕は性格的に流されやすいところがあって、先輩たちみたいに確固たる自分の考えを持っているのはカッコいいと思うようになりましたね」

近頃、そうして井上と時間をともにすることが多いのが、菅嶋弘希と李栄直のふたりである。

「あいつはマジで計算高くなりました。タメになる? あの顔にだまされてはダメ。参考になるとか、そんなこと思っちゃいませんって。それ、こっちをバカにして言っているんですから」(菅嶋)

「僕らのごはんは、井上さんをもてなし、気持ちよくなってもらい、そのうえでお金を払わせてもらう会です。今日もこのあと焼肉にいくんですが、練習前から『肉だ、肉だ!』と、まあうるさいこと。あと気になるのは、髪を切りにいくといって、まったく髪型が変わらないんです。一体、なんのためにいってるんですかね」(李)

以下、他のチームメイト、スタッフの感想だ。

「この1年で潮音が増やしたものといえば、クルマの傷だけじゃないですか。知ってます? あいつのアウディ、あちこちにぶつけてボッコボコですよ。運転がヘタなのに、わりとスピードを出すから気をつけてほしい」(林昇吾)

「変わったところ……。どれだけ考えても、何ひとつ出てこない」(渡辺皓太)

「これはほかの選手からたくさん出ていると思うんですが、あいつの腹黒さはかなりのもの。たしかに顔はイケメンかもしれません。でも、心のなかは汚れていく一方です。まあ……、そういうヒガミですわ」(澤井直人)

「どこが変わったとかは思いつかないですが、サッカーに対しては真摯に取り組んでいるから、それだけで充分じゃないですか。自分が21歳の頃、大学でちゃんとサッカーやってなかったですもん」(平智広)

「特に人間の中身は変わってないと思いますが、新加入の選手に自分から話しかけにいくようになりましたね。それは見ていて、おっ、いってるやんと思いました」(内田達也)

「人間的にダメとか、そんなこと全然ないですよ。あんなにやさしいヤツ、ほかに見たことがない。去年なんて、(安西)幸輝のオモチャみたいになっていたのに、ひとつもいやな顔をしない。兄弟が多いから下の面倒見もいいんです。見かけより、精神的にはずっと大人だと思います」(沖田政夫GKコーチ)

「三つ子の魂百までとはよく言ったもので、潮音については変わらないなと感じることのほうが多いです。でも、それって悪いことばかりではありません。彼の場合、チームに対する思いも、ずっと熱いものを持ち続けています。ここでサッカーをやることに、緑のシャツに対して、変わることなく強い情熱を傾けてくれている。選手として大きくなってほしいと願う一方、僕らにとってそれは何よりの喜びです」(倉林佑弥広報)

「この年齢で、きちんと独立して選手をやっているんだから立派なものじゃないですか。僕の21歳の頃なんて、二浪して入った国士舘大サッカー部の十二軍ですよ。なにせ部員が200人以上もいたので。元ヴェルディの鈴木智幸(国士舘大出身。現・松本山雅FC)は浦和東の同期で、大学ではふたつ上の先輩だけど仲よしの友だちという間柄。それで、ほかの先輩がどういう扱いをすればいいのか困っちゃって。『気をつかわないでください。後輩としての処遇でお願いします』と言ったんですが、難しいですよね。練習はとにかく走る。それだけの毎日。浦和東でだいぶ走ったぞという自信があったのに、それ以上の体力トレーニングの連続です。結果、半年でギブアップし、僕は違う道に進むことを決めました」(後藤雄一マネージャー)

井上潮音の人間的成長を追うのが表のテーマで、後藤マネの半生を明らかにしていくというのが裏テーマになっていきそうです。これは面白いものを見つけたと、僕のライター魂が激しく騒ぎます。

最後に、井上の21歳の誓いは「得点を決めること」。シンプルでいいね。どれだけ多くの緑者がその瞬間を待ち望んでいると思っているんだ。では、また来年!

 

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