【トピックス】検証ルポ『2017シーズン 緑の轍』第三章 転換(17.12.27)
第三章 転換
■内田がいたから可能だったシステム
11月に入り、いよいよシーズンが大詰めに差しかかる時期、体幹トレーニングの途中で内田達也がピッチに正座していたことがあった。下腹部を指で押さえ、少しずつ位置を移動しながら何事か確かめている。
「グロイン(ペイン)がちょっとあるんで」
鼠径部痛症候群。恥骨結合炎とも言う。股関節に痛みが生じる、サッカー選手の職業病のようなものだ。
内田は第24節のカマタマーレ讃岐戦で控えに回ったほか、途中交代も2回だけ。今季ほぼ出ずっぱりである。ボールと人の動きを見ながら的確なポジションを取り、相手の侵攻を防ぐ、その守備力の高さはチームにとってなくてはならないものとなっていた。
替えの利かない選手だ。長丁場のリーグ戦、どこかで負担を軽減することも大事だと僕は思うのだが、「全試合、最初から最後まで出たい。出るつもりだったんで。なぜ自分が使われなかったのか、監督に訊いといてくださいよ」と、えらく不満顔だった。
シーズンの半ばを過ぎれば、試合に出ている誰もがどこかしら痛みを抱えながらプレーしている。内田も自分の身体と相談しながらやっていたはずだが、常に平然としていた。そもそも感情の揺らぎをほとんど見せない。いつも当たり前のようにピッチに立ち、当たり前のようにボールを狩った。
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