「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【この人を見よ!】vol.4 ゴー、ケンジ。ゴー! ~FW29 北脇健慈~(2016/04/06)

どうだ、この威風堂々たる出で立ち。 写真=kitasumi

どうだ、この威風堂々たる出で立ち。 写真=kitasumi

これまで東京ヴェルディのアカデミーが数々のプロを輩出したなかで、異色のプレーヤーだ。ザ・猪突猛進。武骨で、アグレッシブな姿勢。華麗さの対極にある、泥くさいプレースタイル。全身から発せられる熱量、ザラつきが魅力である。第6節のファジアーノ岡山戦では、敗色濃厚のチームを救う同点ゴールを叩き込んだ。
巧さだけでは勝てない。それを教えてくれる貴重な存在だ。

■どうして自分だけが

「外から来た選手が『おまえってヴェルディらしくないね。いい意味で』と言ってくれることがあって、それをポジティブに受け止めつつも、ちょっと複雑な気持ちにはなります。なんでこんなに技術がねえんだろと。おれ、小4からヴェルディにいるんですよ。みんなと同じ練習をやってきたのに」

北脇健慈はジュニア、ジュニアユース、ユースとランドで育ち、日体大を経て、2014年、東京ヴェルディに加入した。

6つ上の兄、里規もランド育ちで、パラグアイ1部のタクアリFCやジュビロ磐田でプレーし、アスルクラロ沼津での2014シーズンを最後に現役から退いた。現在は静岡県のレストランでパラグアイ人の妻とともに料理修行中の身。パラグアイで日本料理店を開く準備を着々と進めているそうだ。

「兄は自分と違って、巧い選手だったみたいですね。小さい頃、親に連れられて何度か試合を観に行ったことはあるんですが、記憶はおぼろげです。ユースの1年目から試合に出ていたらしいから、それに見合う実力があったんでしょう」

テクニックの不足はコンプレックスなのだろうか。

「プロ1年目、2年目あたりはコンプレックスでした。コンプレックスは大げさかもしれないですが、明らかに劣っていると感じていた。うちはパスサッカーだから、なおさらボールコントロールの部分が重要視されるので」

だが、北脇には特有の長所がある。爆発的なスピードと運動量、むき出しの闘争心、なりふり構わずゴールに向かう姿勢。昨年7月、FC鈴鹿ランポーレ(現・鈴鹿アンリミテッドFC)に半年間レンタル移籍し、自身の特長にさらなる磨きをかけて帰ってきた。

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