大宮花伝

【☆無料記事】9月12日にWEリーグ開幕。大宮Vは神戸と対戦し、新たな歴史がスタート。【西大宮の巻】


写真はすべてⒸ1998 N.O.ARDIJA

 

10月2日には浦和と“ダービー”

国内初の女子プロリーグ「WEリーグ」が12日に開幕し、大宮アルディージャVENTUS(大宮V)はアウェーでINAC神戸(10時・ノエスタ)と対戦する。リーグは来年5月22日まで行われ、なでしこリーグ1部の7チームと、同2部の2チーム、新設された女子チームの計11クラブが争う。

新規チームとなる大宮Vは2011年のドイツW杯で初優勝を飾ったDF鮫島彩、MF阪口夢穂と日本代表経験者が名を連ね、15年のカナダW杯で準優勝に貢献したDF有吉沙織が主将を務める。GKスタンボー華ら若手有望株もそろい、岡本武行監督は「一人ひとりがハードワークして、攻守においてアグレッシブなサッカーがしたい」と意気込む。

副主将のDF坂井優紀は新規チームならではの魅力を「出来上がっているチームより、一から作る方がチームメートの仲が深まったりする。そういうところをプレーで出していきたい」と言う。さまざまなチームから選手が集まり、サッカー観もそれぞれが持っている。2月の始動から、すり合わせながらここまできた。

「こういう選手がいるから、この選手はこんなことができるんだというところからのスタート」と鮫島。「それを生かしていくためにはどうしたらいいんだろうかとか今までにない感覚」と話す。チームの土台から作らなければならず、数々の修羅場を越えてきた百戦錬磨のベテランにとっても「難しいことの連続かな」と試行錯誤が続く。

また、「新たなことを経験させてもらえるので、それがすごく楽しい。『昨日できなかったことが今日はできたね』とわかりやすい。充実感につながる」との面白さも。連係を深めるために対話を大事にし、「自分たちの年代、スタッフともどういう風にしていこうと話をしながら、若い子たちとも一緒に作っていく意味で細かい部分まで話していかないと」とコミュニケーションを重ねる。

スタッフ陣の顔触れも豪華だ。ドイツW杯で鮫島、阪口らを率いて日本を初優勝に導いた元代表指揮官の佐々木則夫総監督、ともに頂点を味わった大野忍コーチが在籍。大野コーチは練習で選手一人ひとりにアドバイスを送るなど丁寧に指導。有吉は「シノさんの存在は大きい。攻撃の選手だが守備のメンバーにも言ってくれるので助かっていてありがたい。一番元気ですよ(笑)」と精力的なサポートが光る。

大宮というクラブにとってWEリーグ参戦は新たな歴史の幕開けにもなる。4月のプレーシーズンマッチには多くのサポーターが駆けつけ、鮫島は「観客動員で一番の数を取らせていただいた。男子のサポーターの方がたくさんきてくれたのだと思う」と感謝。「大宮ファミリーのなかに自分たちも受け入れてもらえるようなチームを作っていきたい」とした。

第4節の10月2日には浦和レッズレディースとの“さいたまダービー”(14時・NACK)が待ち受ける。岡本監督は「まずはホームでできる。選手たちが躍動していいサッカーを見せられれば」と目指す。坂井は「負けられないというのがバチバチ出てくる」と予想。第9節の11月13日には、ちふれASエルフェン埼玉と“埼玉ダービー”(14時・NACK)もあるだけに、「自分たちがやるべきことをやって戦っていかないといけない」と力を込めた。

まずは、初戦の神戸戦で勝って勢いづきたいところ。坂井にとっては09年〜11年まで所属した古巣で「むちゃくちゃワクワクしている」と待ち切れない様子だ。「セットプレーで得点を取りにいきたい。自分が一番、ギラギラしているんじゃないか」と宣言。一番早い試合開始時間だけにゴールを決めれば開幕1号の可能性もあって期待が高まる。

鮫島は「(サポーターも)ぜひ、一緒に戦って1年目のベントスカラーを一緒に作っていただけたら」と“大宮共闘”を呼び掛ける。「将来、プロを夢見る少女たちに向けていいチーム、いいリーグを残していけるように今のうちに自分たちのできることをやっていきたい」と全身全霊で臨んでいく。

Text by 松澤明美

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ