大宮花伝

【★無料記事】J1基準を体感も、悔しい敗戦。週末の千葉戦へ「勝ち続けるしかない」(大前元紀)【ヴィッセル神戸戦/マッチレビュー】

■天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦・8月14日(水)19:00キックオフ
NACK5スタジアム大宮
大宮アルディージャ 0-4 ヴィッセル神戸/7,547人
【得点者】神戸/20、48分 田中順也、54分 藤本憲明、68分 小川慶治朗

▼序盤の絶好機を逃すと…

こんなにも違うのかーー。

チームが目指す場所にいるJ1ヴィッセル神戸との対戦は、力量の差を見せられてしまう試合となった。結果は0−4で3回戦敗退し、サポーターからはブーイングも飛んだ。高木琢也監督は「申し訳ない試合をしてしまった。自分の責任というか、自分自身は情けない」と第一声。主将の大前元紀は「平日にもかかわらず、多くのサポーターが来てくれた。勝ちたかった」と胸の内を語った。

ファジアーノ岡山戦から中3日で迎え、高木監督は大幅にメンバーを変更。岡山戦に続いての先発は小島幹敏だけで、ほかの10人は違う顔触れが並んだ。とはいえ、大前元紀やフアンマ・デルガド、菊地光将らとリーグのスタメン経験選手が中心の編成だった。試合開始からハイプレスで日本代表MF山口蛍、元同代表FW田中順也らタレントを要するヴィッセル神戸に応戦。3分、大前がファーストシュート放ち、7分には大前の左CKを菊地がヘディングで合わせた。さらに、10分にはフアンマの絶好機があった。

良いテンポを見せていたが、20分。田中順也にFKを直接決められ先制を許し、追い掛ける展開となって流れを譲り渡した。余裕を持った神戸は丁寧にボールを回し、なかなか隙を見せてくれない。だが、こちらも好守で粘りを発揮して41分には藤本憲明、前半終盤には田中の得点機を塩田仁史が渾身のセーブで食い止めた。3バックも菊地、渡部大輔、吉永昇偉と初の組み合わせだったが、1失点で踏ん張って後半での巻き返しを狙った。

痛かったのは後半開始3分での2失点目。山口に空間を切り裂くようなパスを出され、それを受けた田中から左足シュートを浴びた。出鼻をくじかれると、54分には大分トリニータから神戸に合流約1週間の藤本に3失点目、68分は小川慶治朗に4失点目とリードを広げられた。もちろん高木監督も策をろうし、51分には酒井宣福、65分は富山貴光、71分に小野雅史を入れて活性化を図ったが流れを引き戻すには至らず。来季に立っているであろうJ1のチームとの戦いは、内容も、ゲーム体力もなかなか厳しいものになった。

大山啓輔は「個人的にも圧倒的な力の差があった。今日は本当にゲームコントロールにしても、個人のプレーの部分でも、これといったプレーはほとんどなかった」と唇を噛む。アンカーに入った山口に2アシストをさせることになり、「逆に山口選手には決定的なパスを出された。(布陣の)噛み合わせでマンツーマンじゃない部分もありますけど、しっかり相手のボランチを、もうちょっと抑えたかった」と悔やんだ。

神戸も8月10日の大分戦から先発7人が入れ替わっていた。それでも、この点差だ。しかし、ここでJ1を肌身で感じられたのは今後にとって有益で、新たなモチベーションとなってリーグにつなげられるはず。再び中3日で控えるジェフユナイテッド千葉・市原戦へ菊地が「できるところと、できないところがあった。この結果をしっかり受け止めて、また切り替えてやりたい」と言えば、大山も「総力戦になってくる。しっかりいい準備がしたい」と前を向く。

まずは敗戦を引きずらないことが重要で、大前は「次の千葉戦が本当に大事。上が調子いいだけに、俺らも落とせない試合が続く。勝ち続けるしかない」ーー。

Text by 松澤明美

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