【大東京書簡】第十八信『衣替えの季節ですね』海江田(24.10.13)
■季節が変わり、服の編成に着手する
しぶとく居座り続けた夏がようやく去り、短い秋の季節。朝夕は急に肌寒くなってきて、そろそろ衣替えかと押入れの奥から衣装ケースを引っ張り出した。
半袖シャツや短パンなどの夏物を仕舞い、秋・冬物とメンバーを入れ替え。まったく見覚えのない服が出てきて、驚いたりもする。なんとなく主力、控えに分けて現時点の編成を行い、層の厚さ、補強の必要、不要を見定めるのもこのときだ。
いったんオフに入りながら天候次第で、すまんがもう一度出てきてほしいというケースもなくはない。だが、タイミングを逃すと面倒なことになるため、思い立ったときに着手するようにしている。
誰かが言った。ひとつのシーズン、一度も出番のなかった服は一生着ない。よって、大事にしてきた物でも、すぱっと引退を言い渡すべし。
該当する面々をベッドに並べ、じっと見る。総じて「自分、まだやれるっス」という顔をしている。だが、決めるのはおれだ。こちらのサイズが変わって(つまり、太って)、否応なしに構想外となるのは申し訳なく思う。
ハイブランドとは無縁だが、それなりに値の張った服ほど、決断に迷いが生じる。横で見ていた妻が「その薄手のパーカー、われがもらい受けよう!」と言い出し、移籍できた幸運なケースもまれにある。
引導を渡すのがしのびなく、もう1年とチャンスを与えたことが過去何度かあった。残念ながら、復権を果たしたことは一度もない。
環境(所有者)が変われば、活躍できる可能性はある。学生時代は先輩から不用になった服やスニーカーを譲り受けることがよくあった。社会人となったいま、体形の近い年下の知人友人、ライターの後輩にそれを言い出したらどうなるか。そこに流れる気まずい空気を想像しただけで、ゆっくり意識が飛びそうになる。
こうして新しい季節に対応していく衣替えの場合、各々の評価や立ち位置が動くことはまずない。一方、サッカーのチーム編成はシーズンの過程で、役割や重要度が変わってくるのが面白いところだ。
郡司さんが昌子源、後藤さんが森重真人、東慶悟ときて、ならばこちらは誰を出すべきかを考えた。
選手間のコミュニケーションの軸となり、存在感が増す一方の翁長聖
(残り 1171文字/全文: 2081文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ