「ゼルビアTimes」郡司聡

黒田剛監督「こういう勝ち方をすることが、町田の勝ち方なんだと、少しずつ選手が理解しながら実践してくれている」+濱崎芳己監督、エリキ【水戸ホーリーホック戦/試合後会見コメント+α】

■明治安田生命J2リーグ第4節
3月12日(日)14:00キックオフ
町田GIONスタジアム/3,882人
FC町田ゼルビア 3-0 水戸ホーリーホック
【得点者】町田/14分 エリキ、64分 髙橋大悟、76分 荒木駿太

首位浮上。ここから先のマネジメントは?

○黒田剛監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「前節の金沢戦でのアディショナルタイムの失点をかなり重く受け止めて、その失点を10失点や20失点に匹敵するほどの重みに変えていかないといけないと働き掛けてきました。その中で簡単にシュートを打たせないこと、または一瞬の気の緩みが最終的に優勝に届かないことにつながるのを意識づけさせてきた1週間でした。

かなり良いトレーニングができたという実感があった中で迎えた試合でしたが、しっかりと守備をすることと、また(ミッチェル)デュークとエリキが前から規制を掛けながら、2人目、3人目の選手がボールを奪っていく形がとても機能していたのかなと思います。また相手の最終ラインが高かったことで2トップや平河悠が背後を突くことを意識した中で取れた先制点が大きかったです。ただ30分過ぎから少しずつエリキのプレスが甘くなってきましたし、前に行くことを躊躇し始めたので、もう一度背後を狙わせる形を指示しました。

前半を1-0で折り返し、後半も勝っているゲームの戦い方をしていくこと、リスクを冒さないこと、また後ろ向きでボールを長い時間保持しないことを徹底し、1-0で試合を進めながら2点目を狙っていくコンセプトをみんなで共有しようと、ただ最悪1-0でも良いと意識付けさせました。そうして相手が前に出て来る中で背後を取りながら、2点目を取ることができましたし、その後は守備の強度を上げる選手を投入できたことでわれわれのやりやすい形に持っていけたのかなと思っています。また先週に引き続き、荒木駿太がチーム3点目を奪うなど、理想的な勝ち方になったかなと思います。これからも常に首位を狙い、首位を意識しながら戦うことの積み上げになっていきます。また次の1週間も学びながら、第5節の山形戦に向かっていきたいと思っています」

 

–ボランチの組み合わせがこれまでの試合とは異なりました。
「(下田北斗の)けがもありましたが、稲葉(修土)も秋田ではずっとレギュラー格でプレーしていて、ボールを奪うことに関しては定評がありましたし、また堅実に誠実に守備ができる選手です。彼が中央でバランスを取りながら、(髙江)麗央が前に出ていく考え方の中で、今日はスタートしました。宇野禅斗も途中で起用しましたし、ボール奪取力の高い2人が入ることで中盤の構成を高いレベルにすることができました。またボールを奪うことに長けた2人にすることで、ゲームをクロージングしていくことが良い形で機能したのかなと思います。さらに最後は3バック気味にして、中央ではね返せる状況を作りましたし、やったことがないシステムやポジション取りだったかもしれませんが、うまく時間を使いながら、3-0で勝ち切るプランをやってくれたかなと思います」

 

–3点差という状況でもあるため、そこまでしなくても…という見方もある中で、3バック気味の布陣を採用した意味を聞かせて下さい。
「やはり勝っていくチームはそれ相応のしたたかさがあり、中途半端で終わるわけにはいきません。やり切ることがテーマですから、やって1点を取られました。また最後に決定機を作られたという終わり方では達成感は得られません。勝ったゲームの中にもわれわれの意図がしっかりと組み込まれていることが重要ですし、最後の最後までわれわれのゲームプランを遂行し、やり切るんだと、それが選手たちの口から出ていることは成長でもあります。こういう勝ち方をすることが、町田の勝ち方なんだと、少しずつ選手が理解しながら実践してくれているなと、あらためてそう思えた試合でした」

 

–その3バック気味の布陣について、前節の金沢戦とは違って、中盤は沼田駿也選手と荒木駿太選手が中に絞る形で、割と攻撃的な選手を並べていたことについて、狙いを聞かせて下さい。
「藤尾翔太が新加入選手であるため、彼の地力がどこまであるのか。それを見たかった狙いもありますし、今後はデュークが代表で離脱した中で、藤尾がどれだけフィットできるか。それは使っていかないとなかなかフィットはしないため、今日は起用しましたし、デュークの基準をしっかりとピッチの中で共有してほしかったという意図がありました。2トップをチョイスした理由は以上の通りです。

それから深津康太は前節途中から入って失点を喫していますから、そのあたりの思いも汲むこと、またJリーグ通算400試合出場を達成しているというプライドもあるでしょうから、金沢戦は「申し訳なかった」という表情をしていましたので、今日の試合でもしっかりとやってくれるだろうという手ごたえはありました。また稲葉を交代させて、宇野がアンカーに入る形でしたが、沼田や荒木を宇野の前に置いて、中央を絞らせながら、中央突破を阻止すること、また中を固めることでクロスが入ったとしても中央でボールを奪える、はね返せるだろうと思っていたので、しっかりと無失点でクロージングさせる意図もありました。結果的に中央を割られることはなかったので、そういう意味では良い守備を形成できたかなと思います」

 

–ここまで1失点で、今日は不用意な髙江選手の警告がありましたが、ここまで警告は計2枚です。その点も素晴らしいです。
「たしかに髙江の警告は不用意でしたが、今後不用意な警告をなくすことにつながれば良いなと思います。オフ・ザ・ボールの状況でボールを奪う準備ができることによって、ファウルをしなくてもボールを奪う状況は作れますし、そうした形でボールを奪うことはわれわれの狙いでもあります。しっかりと選手たちが良いポジションを取って、ボールを奪いに行ける、プレスに行ける状況を作ることで警告を受けなくても良いような守備ができていると思います。

長い期間リーグ戦を戦う中で、無駄な失点をするようでは波には乗れないですし、勝ち点を落とすことにつながります。スーパーゴールは仕方がないにしても、極力シュートを打たせない、ボックス内に入れさせない、走らせない、またクロスを上げさせない。その時の相手との距離はどうなのか。選手たちはそういった細かいことを理解しながら、これが失点をしないための守備なんだというものを、実感してきていると思います」

 

–得失点差ではありますが、首位に立ちました。
「首位と言っても飛び抜けているわけではありません。ここからは頭ひとつ出ていく作業が生じます。ここからは不具合が生じたり、相手に研究されてうまくいかない時期も来るでしょう。それをわれわれがポジティブに捉えて、それ以上の準備をし、それ以上の学びをして成長していくことは絶対に欠かせません。試合後に選手たちの前でも言いましたが、またこの1週間で学び、問題点を抽出しながら、改善していく1週間にすることを、今後もみんながブレずにやっていこうと共有しました。油断しなければ、雑なゲームにはならないので、しっかりと締めたチームマネジメントをしていきたいと思います」

 

○濱崎芳己監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「3.11の次の日の試合ということで、われわれのクラブにとっては、いろいろなことがあって、今があります。選手たちには結果を求める中でも、悔いのない、見ている方々に勇気を与えるような試合にしようと、彼らを送り出しました。ただなかなか噛み合わせが良くなく、攻撃のリズムが作れないまま、前半に失点を喫し、後半はギアが入るかなと思ったのですが、そこは町田さんのうまさや圧力に個人でもチームでも屈したかなと思っています。今日のゲームを次につなげなければと、決意を新たにしている次第です」

 

–町田は先制した後、ブロックを組んでなかなか前に出てきませんでした。そういったことも攻めあぐねる原因になったのでしょうか。
「恐らく選手自身は、少し相手を引き出す意図はあったと思いますが、なかなか相手が出てこない中でどう攻略するか。それに時間が掛かった印象です。ただ後半は切り替えることができていましたし、良い時間帯はありましたが、シュートまで行けないことが多かったです。相手は1−0のまま試合を進めて、われわれが出てくればそこをカウンターなりで刺そうと狙っている中で、われわれの崩す手立てがなかったのかなと思います」

–右SBに山田奈央選手が入ったことについて。

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