「ゼルビアTimes」郡司聡

黒田剛監督「2−0で勝ち切ること、またシュートを打たせない、クロスを上げさせない守備に関しては、最後に油断や甘さが出た」+柳下正明監督、奥山政幸【ツエーゲン金沢戦/試合後会見コメント+α】

■明治安田生命J2リーグ第3節
3月5日(日)14:00キックオフ
石川県西部緑地公園陸上競技場/6,218人
ツエーゲン金沢 1-2 FC町田ゼルビア
【得点者】金沢/90+8分 林誠道 町田/11分 平河悠、90+1分 荒木駿太

プロ監督として初のアウェイゲームは勝利という結果に

 

○黒田剛監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「私にとっても初めてのアウェイゲームであるため、プレッシャーや重圧、またはファン、サポーターのみなさんの思いがあることを想定しながら、選手たちにはそういった要素に動揺することなく、平常心で自分たちのサッカーを貫き通そうと、彼らを送り出しました。立ち上がりから幾度となくチャンスもありましたし、その中で良い時間帯に点を取れたことは大きかったです。

われわれは守備力を重視し、失点をゼロに抑えることをベースとしてチーム作りをしてきたので、無失点で進められた中で先に1点を取れることが大きいです。後半に関しては、0−0のプランを大きく崩さず、守備面をしっかりとしながら攻撃に入っていくことを徹底しましたし、2点目を取り急ぐことなく、1−0のまま進めながら、チャンスが来た勝負どころで2点目を奪いに行こうというプランでした。それが我々の勝つための方程式だと思っています。

ただ2点目を取れたことはとても良かったですが、後半のアディショナルタイムが6分+2分となりましたし、GK(ポープ ウィリアム)が痛んでいたこともあったので、フィールドの選手を投入して、フレッシュな状態でプレスを掛け始めました。ただプレーを切れば良かった場面でも、繋いでボールを拾われて、クロスを2本入れられて、またセカンドボールから失点を喫する形でした。2−0で勝ち切ること、またシュートを打たせない、クロスを上げさせない守備ということに関して言うと、最後に油断や甘さが出たのかなと。

ここまでは3戦無敗で来ているので、課題を抽出し、ポジティブに捉えながら、次の1週間をしっかりと取り組んでいきたいですし、この1失点が2、3とならないように、しっかりと締めていければなと思います。私にとって初のアウェイゲームでファン、サポーターのみなさんに良い結果を持って帰ってもらうことができましたし、結果は勝ったことで良しとしたいと思います」

 

–深津康太選手を入れたタイミングで5バック気味の布陣になりました。その意図は?
「前線の選手の体力の消耗もあったので、フレッシュな選手を入れて、あらためて前から激しいプレスを掛ける状況を作り出したかったことが一つ目の狙いです。

もう一つは相手がSBの裏を狙っていたので、役割分担を明確化しました。またクロスが多くなってくると思ったので、リスタートも含めて、しっかりとはね返す状況を作るために、深津というベテラン選手を起用しながら、2−0で勝ち切ろうとしました。そういった態勢を取りましたが、やったことで後手に回ったわけではなく、隙を突かれた格好になりましたが、一つの逃げ切りプランとして試した部分はあります。

次回も似たような状況が訪れれば、やれるなという手ごたえはある程度つかめたシフトでした。後ろに重きを置くわけではなく、サイドの選手がどんどん前に出て行ける状況を作り出したかったのですが、それまでの布陣と大差はなかったと思います。もちろん選手自身の反省はあると思いますが、良い経験にはなったと思います」

 

–前節と先発メンバーは代わりませんでしたが、左右のサイドハーフを右に髙橋大悟選手、左に平河悠選手を配置する形にしていました。その意図は?
「どちらかと言うと、マンツーマン気味で人に依存する形の守備組織を作る金沢さんに対して、カットインできる状況を作り出していくことと、SBがクロスオーバーする状況を作りたいという狙いがありました。そのほうがすんなりいくだろうなという読みもありました。

また右の平河がこの2試合で研究されていましたし、SBに対しても、きちっと人をつけて来る状況だったので、あまり良くなかったら戻すことも想定していました。また逆にすることで相手の動揺を誘えることと、SBのクロスオーバーもより生きるのではないかという工夫をして、相手にとって嫌な状況を作ることを意図していました」

 

–特に先制点は練習してきた3人目の動きでゴールに結びつけましたし、途中出場の3選手が絡む形で追加点を奪いました。最後の失点はもったいなかったですが、そうしたポジティブな点が多い試合をどう評価されますか。
「相手は人にタイトに来るCBとSBだったので、(ミッチェル)デュークが競り合った後のボールや、両CB間のギャップを2列目からどんどん狙っていこうという意図がありました。プランを持って臨んだので、ゴールシーンは選手たちが意図した形で決めてくれましたから、功を奏したのかなと思います。

沼田駿也や荒木駿太、稲葉修土らが入ることで前線が活性化しますし、相手はどんどん前から行きたい状況にもかかわらず、後ろからプレスが掛かることは嫌な時間帯に、嫌な選手、嫌なスピードが入ってくる形だと思います。そういったものを見せられることで相手にとって、とてもやりにくい状況を作れています。これが一つの町田の形になるのかなと彼らを起用しました。彼らも期待に応えてくれましたし、良い形で結果につながったのかなと思います」

 

–失点直後に首を横に振る場面がありました。その時の心境は?
「無失点で終えられなかったことは屈辱的ではあります。ボールを切れる場面で切らずにそのまま試合を進めてしまったことも影響していますし、GKが痛んでいたので、選手交代はGKでも良かったかなと、そういう個人の反省点はあります。これは結果論ではありますが、最後の失点は自分の勉強にもなりましたし、今後に生かしていきたいです」

 

–今日の試合はプレスがハマっていた印象です。狙いを教えてください。
「キャンプではJ1のチームと多く対戦して、かなりプレスが有効に機能した感触があったので、このやり方はJ2でも通用すると、選手たちもある程度の感触を得ていると思います。疲労が見えれば、交代すれば良い話ですし、それだけの選手層を確保できたので、年間を通して、高いクオリティーを維持できればと思います。

またエリキやデュークといった攻撃のタレントもいますから、高い位置でボールを奪えれば、効果的な攻撃ができると思っています。髙橋大悟や平河といったスピードや技術のある選手がそこにより絡むことが相手にとって難しい状況になるのかなとチーム作りをしてきました。今は暑くないので、夏場になるとどうなるか。それは懸念材料ではありますが、夏場に関しては、今後の課題としていきたいです。現状は功を奏していると思います」

 

–深津選手を途中投入した際にはどんな声を掛けたのでしょうか。
「年齢的にも一番上ですし、誰よりも経験をしている選手です。ここまでの取り組みに関しても、チームにポジティブな声掛けをしていましたし、年齢を感じさせない身体能力やクオリティーを練習で発揮していました。彼が入る意味は、ゴール前のはね返しや、対人守備の粘り強さを発揮し、彼の経験をチームに浸透させながら、最終ラインを締めてほしいと起用しました。

そうしたベテラン選手と若手選手が融合することは、チームにとってプラスになることです。「最後はすみません」と深津は言っていましたが、失点をしないために起用した選手が失点を導いてしまった部分があったので、逆により一層これからのチーム作りが引き締まりますし、良い失点だったのかなと思います」

 

○柳下正明監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「90分を通して、自分たちでボールを動かしてチャンスを作れるようになっているので、これを続けていきたいと思います。この3試合の中で、できる選手とできない選手を見ることができましたし、できる選手が集まると良いプレーが出ているので、それをコーチングスタッフで見極めてやっていくことが大事になるかなと思っています。

失点に関しては安過ぎますし、一人ひとりが粘り強くやれるようにしていこうと思います。3連敗ですが、少しずつ良くなっています。またコンビネーションの形も良くなっているので、悲観はしていません。準備する日数がきっちり取れるので、またしっかりとしたトレーニングを積んで、次の試合に向けての準備を進めていきます」

 

–初出場となったバイーア選手の評価は?

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