「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】黒田剛総監督「考えれば考えるほど、涙しか出ないが、後悔はない」【囲み取材ほぼ全文/高校選手権レポート】

ーー試合終了の瞬間をベンチに座った形で迎えました。ホイッスルが鳴った時の心境は?
「ついに終わったなという気持ちと、テクニカルエリアには一人しか出ていけない状況の中で、敗戦をベンチに座って見ることはなかったですから複雑な心境です。性格的にいろいろな指示を出したい気持ちを抑えながら、ベンチに座っていたので、コーチって、こういう心境なのかなと。監督以外のスタッフの気持ちが良く分かりました。コーチングスタッフの意見も取り入れながら采配を振るう経験ができました。最後にそういったことができたのはありがたかったです。優勝で終わりたかったですが、そう甘いものではないことも分かっていましたし、自分自身もあらためて気を引き締めてプロの世界に飛び込める。良い経験ができたと思います」

 

ーー昨年のチームから新たなチームを作る難しさにも直面したと思います。
「昨年のチームからのレギュラーは一人ぐらいなもの。3冠を成し遂げたチームの後で彼らがやるのは相当しんどかったと思います。高円宮杯プレミアリーグでも3連勝をした後に5連敗をしたり、とても落ち込む気持ちもありましたが、夏以降はどんどん強さが出てきました。高体連の中でも5位、4位をキープできたことは素晴らしかったですし、そういった意味で成長してきたレベルは全国でもトップクラスだったと思います。その点は評価してあげても良いのかなと思います」

 

ーー後を受け継ぐ正木監督について。
「大変だとは思いますが、大変なところからやらないと、チームは強くならないですし、強くなっていきません。苦しい敗戦をいくつ経験したか。それで強くなります。全国トップクラスでスタートする山田のつらさを知らないような状態ではありますが、今後もサポートはしていきたいですし、本人が一踏ん張りも二踏ん張りもしないといけないことでもあります。監督の仕事は勝った負けただけではないマネジメントの仕事もとても重要になります。コーチ陣、スタッフのマネジメントも含めれば大変なことですが、成功した後には夢のある、魅力のある、仕事であることは言えます。正木監督は教え子でもあるので、今後も声援を送っていきたいです」

 

ーー雪国で強いチームを作ることの難しさについて。
「雪がストレスにはなりますが、ハンディにはならないということです。気づいたら雪の負荷を利用して練習しています。逆に雪が降らない時はすごく不安を感じます。または全国優勝した後は、雪中サッカーをしたいと、全国から練習試合の申し込みが殺到する状況にもなりますから、雪があったほうが勝てるんじゃないかと全国に思わせられるほど、雪のありがたみを実感してきました。毎日雪かきで大変な豪雪地帯は暗い2、3カ月を過ごすので、雪国のチームが全国で結果を残すことにより勇気をもらったとの言葉をいただいてきました。青森山田高校サッカー部としては、大きなものを残せたんじゃないかなと思います」

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