「ゼルビアTimes」郡司聡

鄭大世「前人未到のキャリア。17年のプロサッカー人生は痛快でした」【現役引退会見ほぼ全文】

今季限りでの現役引退を発表していた鄭大世が11月6日、引退会見に臨んだ。1時間超えに及んだラストメッセージ。会見のほぼ全文をここに掲載する。

慎重に言葉を選びながら会見に臨んだ鄭大世

 

【鄭大世】
ーーまずは冒頭の挨拶をお願いいたします。
「多くの方々に関心を持っていただき、ありがとうございます。38歳。ついに引退を迎えることになりました。今年が契約が満了する年だったので、もし活躍できなければ行けるクラブ、カテゴリーも限られてくるなという中で、今年二ケタ得点を取れなければ、辞めると決めていました。今季結局は6得点。34試合に出ましたが、何よりも自分が納得のいかなかったシーズンで、次にやりたいこともあるため、このタイミングで引退することが良いだろうと、引退を決断しました」

 

ーー引退発表から2週間近くの時間が経ち、J1の試合会場にも出掛けていく中で引退を決めた時と比べて、今では何か心境の変化はありますか?
「引退を決めた瞬間は契約満了になって、心もスッキリして、何の未練もなく引退を決めることができました。ただ最終節の新潟戦を終えた後、正直燃え尽きていないと思いましたが、契約満了という形になったことで、むしろクラブに感謝しました。ここで彷徨うことなく、きっぱりと自分で終止符を打てました。引退を決めた後は川崎の試合を見に行ったり、清水にも挨拶に行ったりしてきましたが、その中でやっぱりスタジアムの歓声とサポーターを見た時に、自分がすごいところで活躍してきたんだなと思ったり、町田でプレーをしながら自信を失ったり、周りを気にしながらプレーしていたことが馬鹿らしく感じられるようになりました。もっと早めに等々力に行っていれば良かったなと思いましたし、余裕を持ってプレーすれば良かったなと思いながら、もっとやりたいなと思いました。でもシーズンが終わって、クラブの練習参加した時に、現役を辞めることを決めたので、練習をしてゲームをする中で、今は息が上がってしまうのも苦痛です。それぐらいですが、やっぱり等々力の雰囲気を見て、もっとやりたいと思っても、家でこたつに座って考えると、ここがベストだなとしみじみと感じています」

 

ーープロ生活の中で鄭大世選手が日本サッカー界に残せたこと、貢献できたことは何でしょうか?
「自分で言えることですかね。ただ海外から日本に戻ってきて球際のことを言い続けてきました。球際はドイツや韓国と比べても隔てられる要素でしたから。そうやって話す効果があったのか。レフェリングも向上して、流すところは流すようになりましたし、5年前と違った球際の変化があったと思います。それを特にキャリアの後半は感じてきました」

 

ーー志を持った選手たちに自分が影響を与えられたと思うようなことはありますか。
「高校の時はプロなんてことは口が裂けても言えないぐらいの状況でした。朝鮮大学は東京都3部リーグで、対戦相手が試合が終わった後にタバコを吸っているのを見て、こんな環境で自分はプロを目指しているのかと思いました。そんな僕が育成のトップレベルとはかけ離れたところでやりながら、自分のプレースタイルをほかと差別化できたという自負があります。学生の時に下の下でしたが、トップレベルの育成年代でプロに入って、今も続けている選手はもういないと思います。本当に正解はないなと思います。39歳の歳までサッカーができました。最後は東京都1部でしたが、強化の方々にも才能が眠っているという意識が芽生えたのでは。トップとはかけ離れている位置にいる選手の潜在能力が見い出される道を作ったと自負しています」

 

ーー開拓者というか、フロンティアの意識があると。
「それがあったから川崎フロンターレに入れたと言わせたいんですよね(笑)。自分で言うのもなんですが、前人未到のキャリアだなと思います。ここまで下から上にのぼった選手はいないんじゃないか。今だから調子に乗ったようなことを言いますが、あの砂埃の舞うグラウンドで赤土でユニフォームも泥だらけになるような環境で、人工芝でプレーしたことすらなかったです。でも今は天然芝のピッチで素晴らしい選手とのキャリアを歩めて良かったと思います。僕のキャリアは痛快でしたね」

 

ーー最近はSNSで過去の画像をアップする機会が多いです。昔の画像を見て、感じていることは?
「すごい選手とやってきたんだなと思います。ピーター・ウタカ、ジュニーニョ、中村憲剛、ポドルスキと一緒のチームでプレーしてきましたし、対戦相手にドログバやロビーニョがいたりしますから。引退を決断してから過去を振り返って、等々力で自分のチャントを歌ってもらったり、過去の写真を載せたりとすると、この頃は良かったなと正直に思います。輝いていましたし、青春時代の活躍だったので、煌びやかに心に残っています。そういう意味では、今の自分の心はすさんでいるなとめっちゃ思います(苦笑)」

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