「ゼルビアTimes」郡司聡

スタートダッシュに成功。2年間の“貯金”がアドバンテージとなった序盤戦【検証・シーズンレビュー2022①】

「3年以内でJ1を目指せるチーム作り」(唐井直GM)を旗印に掲げ、2020シーズンのランコ・ポポヴィッチ体制発足とともに策定した3カ年計画。今季は勝負の年となるラストイヤーだったが、J1昇格レースに本格参戦することなく、15位でシーズンを終えた。1年目の19位を経て、2年目に5位へとジャンプアップした町田の戦績が、なぜ今季はそこまで落ち込んだのか。多角的に分析したシーズンレビューがスタート。第1回はスタートダッシュに成功した序盤戦にクローズアップする。

 

【シーズンレビュー今後の掲載予定】

・シーズンレビュー編(計4回予定)
・チーム編成編
・ポポヴィッチ監督編

※2〜3日間隔で掲載予定

2022シーズン初弾は新チーム主将。序盤は順調だった

▼「シーズンが始まる時には自信があった」

2022シーズン開幕前の決起会。参列した選手全員が「J1昇格」を口々に目標として掲げた。クラブとしても明確にそこまで「J1昇格」を大々的に掲げたシーズンはない。それだけ3カ年計画も集大成のシーズンを迎え、満を持しての所信表明であることがうかがえた。普段は謙虚で選手会長を務める奥山政幸でさえも、「シーズンが始まる時には自信があった」とのちに述懐するほどだった。

それもそのはず、チーム編成の面では横浜F・マリノスに帰還した吉尾海夏を除き、昨季のコアメンバーは大半が残留。懸案だった15点は取れるクラスのセンターFWにはモンテディオ山形で実績を積んだヴィシニウス・アラウージョが加わった。さらに指揮官お気に入りの山口一真は、プレシーズンのトレーニングマッチに出場すればゴールを奪うほど絶好調だった。

大幅なメンバー変更を強いられた他クラブを尻目に、コアメンバーが残った町田は新たにチームを作り替える必要性に迫られていなかった。そのため、ここ2年で植え付けられてきたチーム戦術やコンセプトをブラッシュアップするだけで良かった。そう言っては大袈裟だろうか。百戦錬磨の鄭大世は「海夏の穴? シュウ(太田修介)がいるから大丈夫」と太鼓判を押すほど。この2年間で積み上げてきた“貯金”は、シーズン序盤を戦う上で大きなアドバンテージとなった。

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