「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料掲載】号泣する川村拓夢の下へ駆け寄った一人の「天使」【編集長の取材ノートから/コラム】

■明治安田生命J2リーグ第25節
8月15日(日)19:00キックオフ
ニンジニアスタジアム/1,594人
愛媛FC 2−2 ギラヴァンツ北九州
【得点者】愛媛/22分 藤本佳希、75分 藤本佳希 北九州/37分 新垣貴之、53分 髙橋大悟

 

【愛媛FCvsギラヴァンツ北九州 ハイライト】

▼「大事な友人の一人なので」

残留争い直接対決、注目の6ポイントゲームが2−2で終わると、一人顔を手で覆い、号泣する選手がいた。涙の主は、愛媛FCの川村拓夢。試合全体を振り返れば、涙を流すのも無理はない。

53分、川村のトラップが大きくなったことでボールを失い、そこからカウンターを食らうと、逆転ゴールへと直結。その後は致命的なミスを挽回しようと、62分にはクロスバー直撃のシュートを放ち、2−2で迎えた81分にもゴール前で絶好機ーー。しかし、グラウンダーの左足シュートを外してしまった。

チームを勝利に導くどころか、あわや敗戦に直結しかねないミスも冒していた。結果の責任を背負う男だからこそ、勝てなかった悔しさが涙となって表れたのだろう。

しばらく動けない川村の下に、一人の選手が駆け寄って声を掛ける。一時は逆転となるチーム2点目を決めていたギラヴァンツ北九州の髙橋大悟だった。相手チームの選手が、そこまでするとは。そうしたふるまいの真意を、髙橋本人に聞いてみた。

「拓夢は仲の良い選手ですし、あの気持ちは僕も痛いほど分かります。ホームで順位の近いチームとの対戦で、どうしても勝たないといけない試合で、勝ち点3を取れなかった経験を、特に今年は僕も何度もしています。相手選手ではありますし、あのふるまいに対する深い意味はなかったですが、大事な友人の一人なので」

鄭大世が髙橋のことを、「天使」と崇める理由を垣間見た気がした。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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